コラム
仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

大久保佳代子の下ネタが、コンプライアンスに抵触しない2つの方法――「天才」だと思った『かりそめ天国』の一幕

2021/12/02 21:00
仁科友里(ライター)

 2つ目の方法は「あえて求められていないキャラを演じる」こと。部屋に備え付けられた檜のお風呂を前に、大久保サンは「見えたな、これは入浴シーンあるな」とつぶやく。「(入浴シーンを撮られても)いいんですか?」とスタッフに聞かれた大久保サンは「いいんです、いいんです。私にできることといったら、それくらいしか(ない)」「皆さん楽しませることできないんで」「片乳くらいは大丈夫なんで」と答えていた。

 大久保サンに番組がオファーしたのは、芸人として面白いことを言ってもらうためであり、入浴シーンや胸を見せてもらうのが目的ではないだろう。それがわかっているからこそ、あえて“求められていないキャラ”もしくは“勘違い女”を演じて、笑いを誘ったわけだ。

 この“勘違い女”キャラも、ひと昔前であればオトコ芸人が「何勘違いしてるんだ、ブス!」くらい言ったかもしれない。しかし、さんまも語っていた通り、今の時代にそんなことを言ったら、自分の評価を下げることは彼らもよくわかっているから、大久保サンがツッコまれる可能性は低い。実際に、同番組司会の有吉とマツコ・デラックスはただ笑っているだけだったし、大久保サンもこの展開を想定していただろう。

 結果として、大久保サンの言動はコンプライアンスに抵触せず、人を傷つけず、共演者にも損をさせない笑いを見事に成立させたといえるのではないか。

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