「手土産の達人」IKKOに、テレビスタッフの失礼な質問……“先入観”から生まれるマイナスイメージは、なかなか払拭できない?
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今週の芸能人>
「仕事をもらいたくて、何かを渡すってことはしない」IKKO
『バカリズムの大人のたしなミズム』(10月28日、BS日テレ)
「冤罪」についての本を読んでいると、初動捜査のミスや物的証拠が乏しいという共通点があることに気づく。こうなると、警察は容疑者から自白という証拠を引き出さなくてはいけない。それでは、物的証拠もないのにどうやって容疑者を絞りこむかというと、「動機がありそうな人」を探すことになるそうだ。
たとえば、子どもが犠牲になる事故では、状況から見て事件性も否定できなかった。その時に警察が疑ったのは、ある若い女性。警察は犠牲になった子どもの葬儀で大泣きしたこと、彼女の両親が離婚を繰り返していたことに注目したという。「複雑な家庭で育ったから、人間性に問題があるに違いない」「葬儀で大泣きしたのは罪の意識からだろう」といったとんでもない先入観や決めつけにより、無実の女性を容疑者に仕立て上げ、冤罪が生まれてしまったのだ。
冤罪とまではいかなくても、こうした先入観による決めつけは、私たちの周りにあふれている。
10月28日放送『バカリズムの大人のたしなみズム』(BS日テレ)に、美容家のIKKOが「手土産の達人」として出演していた。IKKOといえば、バラエティ番組で共演した人に毎回違う手土産と直筆の手紙を渡していることを、いろいろなメディアで明かしている。同番組では、和菓子の老舗・とらやでIKKOが手土産を選ぶことになり、審美眼がある人には季節を感じさせる美しい生菓子、人数が多いときはシェアしやすいミニ羊羹、企業の社長や会長など特に敬意を表したい相手には、杉の箱に入った竹皮で包んだ羊羹3本セットといった具合に、相手や目的に応じて持っていくと話していた。品物だけでなく、のしやふろしきの色でも、相手への敬意を表すそうだ。
番組スタッフはIKKOのこだわりに驚嘆したのだろう。「こういうことで成功してきた?」と質問していた。いつものIKKOなら明るく「そうね」と言ってくれそうだが、この時は珍しく「何、成功って」「成功って何?」と2回聞いた後、「私はそういうの関係ないの」「仕事をもらいたくて、何かを渡すということはしない。ご挨拶だから、気持ちだから」と言い切っていた。
ここで思い出すのは、元雨上がり決死隊・宮迫博之のYouTubeチャンネルに島田紳助さんが出演した時のことだ。島田さんは、芸能界を引退した今でも、IKKOから誕生日プレゼントをもらうと明かしていた。IKKOのバラエティ進出のきっかけとなった恩人が島田さんだから、という理由らしいが、もう引退した島田さんにプレゼントを贈り続けることは、「仕事をもらいたくて、何かを渡すということはしない」というIKKOの気持ちを表しているように思う。