カルト宗教を脱会した日、私は『アルマゲドン』の主人公になった。親との関係は“世紀末”に、でも「辞めてよかった」ワケ
ついに私は大学生になり、一人暮らしを始めた(親の金で)。宗教と距離を取った生活をしているうちに、だんだん「名前だけ残しておいて、脱会しなくてもいいのでは?」という気もしてきたが、そもそも脱会したら親にわざわざ確認の連絡がいったりするものなのだろうか?
宗教内の気の許せる友達数人に「脱会したらバレるのかな?」と質問をしてみたところ、全員「バレないっしょ。もしバレるなら皆脱会できなくなっちゃうじゃん」とのことだった(自分もなぜかその感覚であった。「親に連絡するなんて、ひどいことをするところではないだろう」と感じていただけで、深い理由はない)。
なるほど、それもそうか。もしバレないのであれば、やってしまったほうがいい。脱会方法はネットで調べたところ、FAXを送るだけでできるとのこと。脱会通知書のテンプレートも、ネットからダウンロードした。ほかにも内容証明を送るなどの方法があるようだったが、面倒そうなのでやらなかった。
こうして私は脱会する計画を立てた。20歳の誕生日を迎える前日に脱会をし、20代になった私が朝日を浴びる時、私はまっさらな人間になる!
ついに決行
決行日当日、USBメモリを握りしめた私は、宗教の有名施設の近くのコンビニにいた。あの使い方がよくわからないコピー機からUSBに保存していた脱会通知書をプリントアウトし、署名と捺印をした(その場でやるスタイル)。
コピー機の使い方に四苦八苦しながらも、FAX機能で電話番号を打ち込み、もうやっちまえと半ばヤケクソ気味に送信ボタンを押した! それはまるで映画『アルマゲドン』で核爆弾のスイッチを押す主人公・ハリーのようだった。
正直FAXを1枚送信しただけなので、達成感など何もなかったが、その後、宗教施設の前で自分と脱会通知書との記念写真を何枚か撮り、私は帰路に就いた。
その後ハイになった自分は、ドサドサと宗教グッズを捨てた。そして気分がよくなった自分は、眠りについた。20歳の朝を迎えた日、少し大人になれた気がした。親から、誕生日おめでとうメールが届いていたのが少し切なかった。