コラム
仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

松居一代にとって「いい距離感の人間関係」を考える――思い込みが激しく、情が濃い一面と投資家の冷静さを生かすには?

2021/10/21 21:00
仁科友里(ライター)

 たとえば、松居はホームレスの男性に家の掃除などの用事を頼んでいたことがある。この男性を相当信用していたようで、1月28日のブログでは、自宅のセキュリティーナンバーを教えていたことを明かしている。「家が無くて、外で寝起きされていても、誠実な方だと松居は判断していました」と書いており、実際に、この男性はトラブルを起こしていないようだ。

 勘の良さは投資家にとって重要な資質だろうから、誠実な人柄を見抜いたのはさすがというべきだろうが、もし私がこのホームレス男性なら、セキュリティーナンバーを教えてもらってもうれしくないと思う。なぜなら、もし松居家の中で何かなくなったとしたら、それが勘違いであったとしても、最初に疑われるのは自分の可能性が高いからである。100%善意で行った行為が、相手にとっては“ありがた迷惑”かもしれないと思うセンスが、松居にはないのかもしれない。

 直観力だけでなく、松居は行動力にも優れている。船越と結婚していた当時、彼が主演するドラマの視聴率アップのために、松居が自分でチラシを作り、街行く女子高生に配っているのをワイドショーで見たことがある。正直なところ、チラシを配ったくらいでドラマの視聴率が上がるとは思えないが、「好きになったら命がけ」になるのが松居なのだろうと思う。

 しかし、この濃すぎる情は、一歩間違うと仇になるかもしれない。松居はご近所さんや解体工事の業者など、自分が「これ」と思い込んだ人には、大金をつぎ込むクセがあるようにも見える。赤の他人でもこうなのだから、家族となるともっと濃密に付き合うのではないか。松居は経済力があるので、大金を援助することも可能かもしれない。こういう付き合いはうまく行っているときはいいが、相手が自分の思う通りに動いてくれないと、「あんなにやってやったのに」と恨み骨髄に徹する可能性も秘めている。息子と揉めている裏に、こうした不満がないとはいえないだろう。

 さらに松居は、顔も名前も知らないブログ読者のことも“家族”と呼ぶが、彼女にとってこれくらい距離感のある人間関係のほうが、トラブルにならなくていいのかもしれない。一緒に住んだり、毎日顔を見て愛しあうという意味の家族と付き合っていくのは、松居の負担が大きく、そもそも向いてないと思うのだ。

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