コラム
仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

松居一代にとって「いい距離感の人間関係」を考える――思い込みが激しく、情が濃い一面と投資家の冷静さを生かすには?

2021/10/21 21:00
仁科友里(ライター)
松居一代公式ブログより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今週の芸能人>
「小室さんとお姫様の眞子さまに貸してあげたい心境ですが、家賃が高いですよ 」松居一代 
松居一代オフィシャルブログ、10月13日

 「婦人公論」2021年10月26日号(中央公論新社)の特集「<歳を重ねた親子のホンネ>母が重い、娘がこわい」が面白かった。数年前に起こった毒親ブームの頃は、母親の仕打ちがいかにひどかったかを娘の側から語るものが多かったが、今号では「娘がこわい」という母親側からの反論も載っている。同誌にコメントを寄せた臨床心理士の信田さよ子氏は、どちらの肩を持つわけでもなく、それぞれに精神的な距離を保つことを勧めており、これは「大人になったら、母と娘はどちらも必要以上に干渉するな」という意味だと私は解釈した。

 アジア人は血のつながりを重視する傾向があるといわれている。親族やきょうだいでいさかいがあると、「血がつながっているのだから、いつかはわかりあえる」といさめてくる人がいるのはその表れだろうが、実際は親子間で殺人が起きることもあるし、介護や遺産相続をきっかけにしてきょうだいが絶縁するという話もよく聞く。みんながみんな、円満でわかりあえる家庭ではないということだろう。

 もう一つ思うのは、実は「家族という存在が必要でない人」もいるのではないか、ということだ。

 17年、タレント・松居一代と俳優・船越英一郎の離婚騒動が世間を騒がせた。松居は船越の不貞の証拠をYouTube上で暴露するなど、前代未聞の事態となったが、後に2人の離婚は成立し、松居はテレビの世界を去った。もともと投資家としての腕に定評がある松居だが、現在はニューヨーク・マンハッタンに活動の拠点を移している。

 女の細腕でたいしたものだと思う一方で、松居の周囲には家族にまつわるトラブルが多いことにも気づく。21年10月16日付のブログで、松居は「私は残念ながら、実の家族には恵まれていません。バツ2で世間様を巻き込んでの派手な離婚劇場」と、家族運の薄さを嘆いている。離婚だけでなく、松居は最初の結婚でもうけた一人息子とも揉めているようだ。息子は船越と養子縁組をして「船越」姓を名乗り、会社を経営しているが、松居は息子に養子縁組を絶つことを条件として資金を貸与したものの、その約束は守られていないとブログ内で明かした。

 実母や妹たちとの関係も、あまりうまくいっていないようだ。松居は今年2月に実父を亡くしているが、3月30日のブログには、実父の危篤時や四十九日法要の連絡がなかったこと、通夜や葬儀の際は松居の席が用意されていなかったことが書かれている。何が原因なのかは詳しくわからないが、実家側にとって、よほど腹に据えかねる出来事があったのだろうと推測する。

 生きていれば対人トラブルは付き物とはいえ、松居のブログを読んでいて感じるのは、彼女の思い込みの激しさ、もしくは情の濃さである。

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