コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験を毛嫌いする担任に「勉強漬け」と言われ……『二月の勝者』は将来が心配!?

2021/10/24 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

写真ACより

 中学受験関係者の間では今、日本テレビ系列で放映中の連続ドラマ『二月の勝者-絶対合格の教室-』が話題。塾の先生たちも注目しているようで「当たらずとも遠からず」「いやいや、なかなかにリアル」などという感想を多く耳にしている。

 その原作マンガ(高瀬志帆作)の中に「なんで『勉強ができる』って特技は、(中略)褒めてもらえないんだろうね?」という台詞がある。つい最近、筆者が受けたお悩み相談はこの台詞を思い出すものであった。

 勇人くん(仮名)は6年生。活発な男の子で好奇心旺盛。幼い頃から利発で、3歳頃には平仮名もアルファベットもマスター。記憶力もよく、それこそ「一を聞いて十を知るタイプ」らしく、親も期待を寄せての中学受験組である。

 勇人くんの小学校では受験組は少数派で、多くの子たちは地元公立中に進学するそうだ。しかし、特に受験組・非受験組に軋轢はなく、みんな、普通に仲良し。事実、勇人くんは5年生までは塾も学校も大好きで、受験組、非受験組関係なくクラスメートとも仲良くしていたという。

 ところが、6年生になり、担任の先生が代わった途端、雲行きが怪しくなってきたのだそうだ。明らかに中学受験組と非中学受験組との間に見えない溝が広がっているとか……。勇人くんの母である希美さん(仮名)はこう話す。

「とにかく担任が最悪なんです。中学受験に恨みがあるとしか思えないんですよ」

 中学受験塾Sの最上位クラスにいる勇人くんにとっては、今の学校の授業は苦痛の時間。わかりきっていることを延々と演習させられることも、同じ漢字を30回も書かせられることも、うんざりする原因になっているという。

 希美さんが問題視する点は、出された課題を正答しても、勝手に次の単元に進むことも許されず、そもそも先に正答を発言することはご法度だということ。これは「有能アピール」に当たるらしく、担任から忌み嫌われる行為なのだそう。

「担任は何かにつけて『塾に行っているからって偉いわけじゃありません』とか『わかっていない子の立場に立って待っててあげなさい』とか言うそうです。わけがわかりません。勇人も『いや、一度も偉そうにしたことはないし、わかってない子をバカにしたこともないんだけど……。考えられるとしたら、あまりに退屈な時間なのでボーっとしているように見えるってことくらい?』と言うくらい先生への対応に苦慮しているようなんです」

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