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『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』若年性アルツハイマーの父親をケアする高3の息子「ボクと父ちゃんの記憶 ~家族の思い出 別れの時~」

2021/10/18 19:36
石徹白未亜(ライター)

 番組内で京子は以下のように話していた。

「みんな(佳秀が)認知症で大変っていうけど、大変なことがあっても必ずプラス・マイナス・ゼロぐらいいいことあるじゃない。『子どもたちしっかりしてるね』って言う(言われる)けど、認知症のお父さんがいてそれで育ててくれたんじゃないのかな」

 外的要因で、年の割にしっかりせざるを得なかった子どもというのは切ない。それぞれの家族固有の事情や歴史があるだろうし、大介や妹たちがどう思うかはわからないが、私は、この京子の発言には共感できなかった。

 むしろ共感できたのが、介護施設のスタッフが、佳秀を預けたあとに大介にかけた「夏休み楽しんでください」という言葉だ。大介が中学に入るころから佳秀の症状は悪化したとあり、大介の思春期は、ほぼ佳秀のケアとともにあったのだ。

 大介は高校卒業後に就職が決まっているため、すぐに社会人となる。残りの半年、子ども時代の終わりを気ままに過ごしてほしいと願う。

 厚生労働省のホームページでは、ヤングケアラーは「一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども」とされており、その範囲は広い。

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