カルチャー
[女性誌レビュー]「婦人公論」2021年10月12日号

氷川きよしことkiiちゃんが「婦人公論」で語る! “演じてきた別人格”と“私”の2つの表現と覚悟

2021/10/09 17:00
島本有紀子(ライター)

 最後に見ていくのは、氷川きよしのグラビア&インタビュー「迷わないと決めたら世界が大きく広がった」。“表現する覚悟”という、今号の裏テーマ的なものを統括するかのような内容になっています。

 最近では演歌だけでなくポップスにも挑戦し、園芸番組『趣味の園芸』(Eテレ)、料理番組『氷川きよし kiiのおかえりごはん』(ポッドキャスト配信)など活躍の幅を広げている我らがkiiちゃん。いわく、「ずっと演歌を歌ってきましたが、『男の生きざま』みたいなものをテーマにした楽曲も多く、私は歌の主人公になりきることでその世界を表現してきたつもりです。以前は、『歌の主人公のように自分も生きなければ!』と思い、男らしくあろうとさまざま努力もしました。(中略)でも、今は違います。歌の主人公になりきって歌うけれど、現実の私は、お料理と園芸、ファッションが好きな『私』であり、歌の主人公とは別人格なのだとはっきり分けて考えられるようになりました」とのこと。

 「自分を肯定したら、臆さず自己表現することができるようになり、同時に、世界が大きく柔らかく広がり始めた」と話していて、よかったねkiiちゃん……! という思いがあふれます。

 kiiちゃんでさえ、それができるようになるまでに歌手デビューから約20年が必要だったように、簡単なことではないのは百も承知ですが、“自分ではない何かを演じる表現”と“ありのままの自分で行う表現”の2つを、半々にバランスを取ってできるようになってやっと、kiiちゃんのように柔らかな世界を手に入れることができるのかもしれません。

島本有紀子(ライター)

女性ファッション誌ウォッチャー。ファッションページから読み物ページまでチェックし、その女性誌の特性や読者像を想像するのが趣味。サイゾーウーマンでは、「ar」(主婦と生活社)と「Domani」(小学館)レビューを担当していた。

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最終更新:2021/10/09 17:00
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