サイゾーウーマンコラム「わが母ながら立派」と思っていたが……同居する弟夫婦は「他人以下」、父の介護に一人で取り組む心情は聞くに聞けない コラム 老いゆく親と、どう向き合う? 「わが母ながら立派」と思っていたが……同居する弟夫婦は「他人以下」、父の介護に一人で取り組む心情は聞くに聞けない 2021/09/12 18:00 坂口鈴香(ライター) 老いゆく親と、どう向き合う? あと1年……免許返納を先延ばしに 「実家のある町では、高齢者が免許を返納するとタクシー券を5万円分くれるのですが、北海道では5万円なんて、数回タクシーを利用すればもうなくなってしまいますよ。実家から隣家に行くのだって、車で行かないといけないくらいなんですから」 江口さんはため息をつく。おまけに、最近になって父親は「俺は認知症じゃない」と言い出した。そのうえ、「免許を返納したのは間違いだった」とまで言うようになったという。 「怒って、母に詰め寄ることもあるようです。それで母はなおさら父の足にならないといけないと思ってしまっているようなんです」 母親も免許返納をまったく考えていないわけではない。 「『今年は免許を返納する』と母も毎年言っていたのですが、あと1年だけ、もう1年、と先延ばしにしているうちに、“母流パーソンセンタードケア”で免許返納はさらに難しくなってしまったんです」 母親の自己流パーソンセンタードケアの効果か、父親の認知症はそう進行していない。だが、母親まで運転できなくなると両親は完全に引きこもってしまうだろう。そうなると父親の認知症は一気に進むのではないかと、それも心配だ。 次のページ 同居する弟は他人以下 前のページ123次のページ 楽天 知識ゼロからの短歌入門 関連記事 認知症の母は壊れてなんかいない。本質があらわになっただけ【老いてゆく親と向き合う】明るく聡明な母で尊敬していたが――「せん妄」で知った母の本心【老いゆく親と向き合う】老いてから金に執着するようになった母ーーその悲しい理由とは? 「年金で足りない費用」めぐる家族関係実家の将来は“安泰”と思っていたが……「おかしいなと思った」母の言動と、あっという間に崩れた生活母のおもらしが増え、家中が臭くなり、怒鳴る父……変わってしまった実家に娘の複雑な思い