海外
これは根深い問題

妊娠6週以降の中絶を禁止するテキサス州法に、アリッサ・ミラノやパトリシア・アークエットらセレブも猛反発!

2021/09/03 20:31
堀川樹里(ライター)
望まれない妊娠でも中絶禁止とは……(写真/Getty Imagesより)

 米テキサス州で9月1日、胎児の心拍が確認された後(およそ妊娠6週以降)の人工妊娠中絶を禁止する州法が施行された。母体が危険な場合以外は、性暴力による妊娠であっても中絶は違法となる。密告者に報酬を与えるような制度まで整備され、人工中絶を行っていたクリニックは法案に従うと発表。同州での中絶が事実上不可能となり、プロチョイス派(人工妊娠中絶権利擁護派)のセレブたちから次々と反対の声が上がっているようだ。

 今回、テキサス州で施行された人工中絶禁止法は、神から授かった胎児の命を尊重し何がなんでも守るというプロライフ派にとって理想の内容となった。その理由として、複数の米メディアは「多くの女性が『妊娠したかも』と気づくのは妊娠6週前後であるため、他州のクリニックに行ける経済的余裕のある人以外は、絶対に産まなくてはならない」こと、「レイプや近親相姦による望まない妊娠であっても中絶できない」こと、「中絶手術を行った医師や医療スタッフ、中絶手術を受けられるように手助けをした者を、無関係の一般市民が訴え、勝訴したら、被告1人につき1万ドル(約109万円)の『法定損害賠償金』を得ることが認められた」ことなどを挙げている。

 しかし、女性には産む権利と同様に産まない権利もあると主張するプロチョイス派や関連団体は猛反発。「心に深い傷を負う手術なのは理解した上で、さまざまな理由から中絶せざるを得ない女性もいる」「妊娠・出産は女性にとって体だけでなく人生までをも変える大きな出来事なのだから、中絶する選択も可能にすべき」と主張し、プロチョイス派のセレブたちもTwitter上で怒りを爆発させている状況だ。

 2019年に南部の州で次々と人工中絶禁止の州法が可決された時に、2回中絶した過去を告白した上で反対の意を表明していた人気俳優アリッサ・ミラノは、今回のテキサス州の法律についても「妊娠6週目以降の妊婦に中絶手術を行った医療従事者を、政治家や近所の人たち、赤の他人でさえも告訴できるという権利が与えられたのよ。中絶する手助けをしただけの人たちも訴えられてしまうの。今こそ、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)のために闘う時よ!」とツイート。

 また、オスカー俳優のパトリシア・アークエットは、「『テキサスは自由を信じる』と主張し、『アメリカ人女性の子宮は州の所有物なのだぞ』などと強弁しながらね」と皮肉まじりにコメントしている。

 数多くの作品に出演し、エミー賞やトニー賞などを受賞している俳優のエレン・バーキンも、「テキサスを(アメリカから)切り離す時が来たわ」と絶望感を表現した。

 さらに、ドラマ『ザ・ホワイトハウス』のジョシュ・ライマン役で知られる俳優のブラッドリー・ウィットフォードは、「女性は1人で受精できるわけじゃないのに」と批判。「これはプロライフじゃないね。女性が嫌いなだけだ。女性に罰を与えたいだけだろ」とツイートし、8万近い「いいね」を集めた。

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