カルチャー
[女性誌レビュー]「婦人公論」2021年9月14日号

江原啓之、熱海支援を「霊界の力」と結び付ける意図は!? 『婦人公論』で語る「災害から身を守るための心得」の違和感

2021/09/04 14:00
島本有紀子(ライター)

 最後に見ていくのは、スピリチュアリスト・江原啓之の「災害から身を守るために私たちに必要な心構え」。昨年、静岡県熱海市に本格移住した江原は、今年7月に熱海で発生した記録的豪雨に遭遇。その経験から「災害から身を守るために私たちに必要な心構え」を語るという趣旨のインタビューです。

 災害の専門家ではないのに、なぜ江原が……? という疑問も浮かびつつ読んでいくと、江原が呼びかけているのは主に“テレビは土砂崩れの映像だけでなく現地の人に必要な情報を伝えるべきだった”という苦言、あとは“普段から防災意識を高めておきましょう”“被災地に寄付を”という提言でした。熱海在住のみなさんが言いたいことを江原が代表して話した、ということなのでしょうか。

 熱海移住といえば、江原は今年1月26日号で「新型コロナウイルス感染拡大の時期と私の完全移転が重なった」「『熱海』『熱海』という文字がお告げのように私の頭に浮かんだ」「『熱海』というメッセージは霊界の導きだったのだと思います」と語っていました。まるで“コロナを予知し、霊界のお導きで熱海に移住していた”と言っているよう。

 そんな力を持つ江原でも自然災害は予知できないんだな、それほど怖いものだからこそ、地道に防災意識を高めることが大事なんだな……と納得しかけたのですが、江原は最後の最後で、次のように語っています。

「7月22日に沼津市・熱海市復旧支援チャリティとして講演会(ライブ配信)を行いました。また10月に発売予定のCDの売上げも寄付する予定です。どちらも災害が起こる前から決まっていた講演会やアルバム制作ですが、まるで『お役に立ちなさい』と霊界の力が働いたかのようです」

 いやこれは霊界、関係ないんじゃ? こじつけすぎでは? と違和感。もし本当であるのなら霊界も霊界で、もっと早い段階で江原に働きかけてほしいものだと感じました。

 

島本有紀子(ライター)

女性ファッション誌ウォッチャー。ファッションページから読み物ページまでチェックし、その女性誌の特性や読者像を想像するのが趣味。サイゾーウーマンでは、「ar」(主婦と生活社)と「Domani」(小学館)レビューを担当していた。

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最終更新:2021/09/04 14:00
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