東京五輪が皇室に与えた影響とは? IOC・バッハ会長の言動、菅首相&小池都知事の“不起立”……皇室ウォッチャー怒りの解説
――1964年の東京五輪、98年の長野五輪では、天皇陛下が名誉総裁として開・閉会式両方に出席されていますが、今回の東京五輪閉会式は秋篠宮殿下が陛下の名代として出席されました。
X 五輪の閉会式はIOCの規定で、“国家元首か、国家元首から指名された者が出席する”と定められており、今回、陛下が秋篠宮さまを指名されたということです。64年の東京五輪は昭和天皇、98年の長野五輪の時は、平成時代の天皇(今の上皇さま)が名誉総裁として開・閉会式の両方に出席され、皇太子がパラリンピックの名誉総裁として開・閉会式に出席しています。今回は、五輪・パラの連携一体化の観点から、天皇陛下が両大会の名誉総裁を務め、閉会式は皇太子待遇で皇位継承順位が第1位の皇嗣である秋篠宮さまが、名代として出席されることになったというわけです。
――五輪史上初の1年延期、コロナ禍でのオリンピック開催という特異な状況下で、国民に受け入れてもらうためにIOCや菅政権によって“皇室が政治利用されているのでは”と懸念する声もありますが、今回の東京オリンピックを契機に皇室の活動に何らかの影響が生じる可能性はありますでしょうか。
X 確かに、陛下が会場で開会宣言をしたことで、政府が強引に開催を推し進めた東京五輪に“箔”がついた形になりましたね。そういう意味では、菅政権は“得をした”と言えるかもしれません。ただ、今回のことが皇室に何らかの影響を及ぼすということはないと思いますが、陛下が五輪憲章の原文にある“celebrating”の翻訳の範囲内とはいえ、“五輪開会宣言の文言を変えた”というひとつの前例を作られたとはいえます。
皇室の方々は政治的な介入はできない存在ですが、今後明らかに日本国民にとって不利益や意に沿わない活動が行われそうになった場合、陛下をはじめとする皇室の方々が“何かしらのメッセージを発する”、そして方向性が変わるといった可能性は、今回のことで“あり得る”ということがわかったような気がします。