未成年“大量万引き”グループに警察官も激怒! 抵抗する少年、泣き叫ぶ少女……とんだ真夏の大冒険
それから通路上に設置されたカゴを手にとり、どこかわざとらしくじゃれ合いながら食品売場に入った4人は、精肉コーナーで焼肉やステーキ用の和牛肉、ソーセージやブロックベーコンなど、値の張る商品ばかりをカゴの中に投げ入れ、続いて向かった酒コーナーで、缶チューハイやつまみなどの商品をカゴに追加して売場を離れます。彼らの位置だけを把握するように注視していると、男たちが手ぶらで店の外に出ていくのが見えました。何をするのか気になりますが、女たちが持つ未精算の商品から目を離すわけにはいきません。悶々とした気持ちで見守っていたところ、店長と合流することができたので、ひととおりの状況を説明しながら未精算の商品を見守ります。
「きっとカゴダッシュで持っていくつもりですよ。警察にも通報しておいたほうがいいかもしれませんね」
「わかりました。とりあえず出口を固めます」
店内無線を使って外の様子を確認するよう副店長に指示した店長は、続いて鮮魚部長も呼び出して出入口付近で待機しておくよう命じました。するとまもなく、外に出た男たちがバイクを入口前に移動させているとの報告が入って、状況が一気に緊迫します。
外に出た男たちが店内に戻り、待機していた女たちと合流してカゴを拾い上げると、つかず離れずの距離を保って全員が出口に向かって歩き始めました。店長とふたり、遠巻きにして後を追うと、出口前のベンチで足を止めて周囲を警戒しています。まもなく走り出す雰囲気を感じたため、なるべく急いで間合いを詰めたところ、案の定、外に向かって一斉に走り出しました。慌てて追いかけると、外に出たところで、副店長と鮮魚部長と思しき2人がバイクにまたがろうとする男たちと揉み合っています。揉み合い現場のかたわらで立ち尽くす女たちに近づき、それとなくトートバッグの持ち手を掴んだ私は、少し距離を取るよう2人を誘導してから用件を告げました。
「お店の保安員です。お姉さんたち、なんでこうなっているか、わかりますよね?」
「……はい、ごめんなさい」
「あの子たちは、あなたたちの彼氏かな? 暴れないように説得できる?」
すでに数人の野次馬が、騒ぎに気付いて足を止め、大声を出して暴れる彼らに目を向けています。私の問いかけに顔を見合わせた2人は、すでに泣いていますが、目で会話してうなずき合うと、身をねじって暴れる男たちに近付いて言いました。
「ねえ、お願い。もうやめて!」
「……わかったよ。ごめん」