未成年“大量万引き”グループに警察官も激怒! 抵抗する少年、泣き叫ぶ少女……とんだ真夏の大冒険
「そうなんですか。なんでも駐車場がたまり場みたいになっているらしくて、注意するように言われたんですけど……。万引きも、やっていそうですか?」
「あまり聞かないけど、やっていても不思議じゃないですね。なにかあれば、遠慮なく通報してください」
そのまま軽く昼食をすませて現場に戻り、巡回を再開するも気になるような不審者の来店はありません。夕方のピークを迎えても状況は変わらず、息抜きを兼ねて屋外に設置されたトイレに向かうと、排気音がうるさいスクーターに乗った2組のカップルが駐車場内に入ってきました。見たところ10代後半くらいでしょうか。自転車用の駐輪場に乱雑な形でバイクを停めると、すぐ脇にある休憩スペースのベンチを陣取って、一斉にタバコを吸い始めます。全員が同時にタバコをふかしているため、喫煙所と見紛うほどですが、この場所は禁煙で灰皿の設置はありません。駐車場を仕切る警備員も、彼らの存在に気付いてはいるものの、入場してくる車に向けて赤棒を振ることで見て見ぬふりをしているようです。
(あれが、うわさの人たちね。店の中に入ってこなければいいけど……)
見ていても仕方ないので、手早く用を済ませて、それとなく各々の顔を覚えてから店に戻ります。近頃は、若い子たちの間で、昭和のスタイルが流行っているのでしょうか。渡哲也さんのようなサングラスをかけた短髪の男の子たちと、露出の激しい金髪の女の子たちの姿をみて、どこか懐かしい気持ちになりました。
店に戻り、品出しをしていた店長に状況報告をすると、もし彼らが入ってきたら目を離さず、何かあったらすぐに知らせるようあらためて指示されます。
「ウチの副店(副店長)は空手の黒帯だし、鮮魚部長も学生相撲をやっていた人だから大丈夫。あんな奴らに、負けないですよ」
どうにか理由をつけて排除したいらしく、有事の際は、腕っ節の強い男性社員と駆けつけるつもりでいるようです。業務終了まで、あと2時間半。なにもないことを祈りながら店内の巡回を再開すると、願い届かず、2組のカップルが店に入ってきました。肩を揺らして、威嚇するように先導する男の子たちの態度と、女の子の肩にある大きめのトートバッグが気になります。スマホで店長に連絡を入れながら様子を見ていると、花火売場で足を止めた一同は、手元を見られないように固まって、複数の花火セット(噴出と手持ちのセット)をトートバッグに隠しました。