サイゾーウーマンカルチャーブックレビュー『アンという名の少女』の副読本に! カルチャー 【サイジョの本棚・打ち合わせ編】 ドラマ『アンという名の少女』副読本にオススメ! 斎藤美奈子『挑発する少女小説』氷室冴子『いっぱしの女』 2021/08/14 14:00 サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman) サイジョの本棚 (C)サイゾーウーマン ここはサイゾーウーマン編集部の一角。ライター保田と編集部員A子が、ブックレビューで取り上げる本について雑談中。いま気になるタイトルは? ◎ブックライター・保田 アラサーのライター。書評「サイジョの本棚」担当で、一度本屋に入ったら数時間は出てこない。海外文学からマンガまで読む雑食派。とはいっても、「女性の生き方」にまつわる本がどうしても気になるお年頃。趣味(アイドルオタク)にも本気。 ◎編集部・A子 2人の子どもを持つアラフォー。出産前は本屋に足しげく通っていたのに、いまは食洗器・ロボット掃除機・電気圧力鍋を使っても本屋に行く暇がない。気になる本をネットでポチるだけの日々。読書時間が区切りやすい、短編集ばかりに手を出してしまっているのが悩み。 社会を挑発してきた!? 少女小説の真の魅力 編集・A子 長引くコロナ禍で、定額動画配信サービスが好調みたいですよ。春の調査では、利用率が2年連続で大きく伸びているとか(※1)。保田さんは何か見ています?。 ライター・保田 私は、本と漫画とアイドルで手いっぱいなんです。でも、おすすめ作品は知りたい! 編集・A子 この1年ほどは韓国ドラマが何度目かのブームになってますよね。韓国ドラマもいいんですが、カナダ制作の『アンという名の少女』(Netflix/8月からNHKで再放送)も面白いんですよ! 原作『赤毛のアン』に大胆な解釈を加え、現代版の『アン』として再構築したと、海外ドラマファンの間でめちゃくちゃ評価されています。シーズン3で終了なんですが、ファンは継続嘆願署名150万筆を集めているんですよ。すごくないですか? こういうドラマを見ると、原作読み返したくなる! ライター・保田 それなら、斎藤美奈子さんの『挑発する少女小説』(河出書房新社)と併せて読むことをオススメします! 『赤毛のアン』をはじめ、『若草物語』『小公女』『あしながおじさん』など世界中で読み継がれている少女向け翻訳小説を読み直し、現代の視点を加えて再解釈を試みる評論集なんです。 編集・A子 書名を聞くだけで懐かしい! でも、どの作品もなんとなく“良妻賢母”を推奨する雰囲気だったような……。 ライター・保田 そう! 現代の視点で見れば保守的な面もあるんです。ただ、著者が「世界中の女性を100年もの間魅了する物語が『女はおとなしく家にひっこんでな』式の後進的かつ差別的な物語であるはずがない」と言う通り、これらの名作は共通して少女に「自分で考える」「世界は広い」「『オンナコドモ』と見下す人とは戦え」と、旧来のジェンダー観から逸脱して生きる少女像を伝えています。 編集・A子 社会を「挑発する少女小説」なんですね。確かに、アンも『若草物語』きってのおてんばジョーも、黙って大人に従うような少女ではなかったはず! ライター・保田 だからこそ時代や国を超えて、少女を惹きつけ、勇気づける力があるんですよ。斎藤氏による、作品の時代背景、社会情勢を含んだ丁寧な解説で、ジェンダー史の一端をつかむこともできます。 編集・A子 なるほど~。子どもの頃には気づかなかった、新たな発見とともに読むことができそう。 次のページ 氷室冴子から30年の時を経て届いた、現代女性へのエール 123次のページ Yahoo ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 Blu-ray Disc 関連記事 「自分よりやせてるか・太ってるか」ジャッジ地獄/どういう「おばさん」でありたい?/男の弱音って……【サイ女の本棚】“飯テロ”エッセイ『きょうの肴なに食べよう?』『キッチハイク!突撃!世界の晩ごはん』、日常のなにげない「おうちごはん」が愛おしくなる宇佐見りん『推し、燃ゆ』で描かれる、誰かを「推す」ことの不毛さと偶像を尊ぶアイドルファンのリアル嫌われるのを厭わない女×いい子でいたい若い女――ふたりの女から見る『プラダを着た悪魔』既婚/独身、専業主婦/仕事女の分断と希望を描く『グッドナイトムーン』