『ゴゴスマ』を成功に導いた石井亮次アナ、「天狗になっていない」アピールの危険度とは? 視聴者の共感を得る“今どきの謙遜”
『ホンマでっか!?TV』で、出演者のフリーアナウンサーの配偶者について話が及んだ時のこと。司会を務める加藤綾子アナの夫は、年商2000億円といわれる実業家で、元テレビ朝日・竹内由恵アナの夫は医師、元NHKの神田愛花アナの夫は売れっ子お笑い芸人のバナナマン・日村勇紀である。経歴や聞こえが華やかな職業の配偶者を持っている人が多い中、石井アナは、自分の妻を「喫茶店のお姉ちゃん」と言って笑いを取っていた。
その昔、ビートたけしや明石家さんまがテレビでよく「飲み屋のお姉ちゃん」という言い方をしていたが、血縁関係のない若い女性を男性が「お姉ちゃん」呼ぶことはある。しかし、あまり相手に敬意を払っていないというか、相手を「ちょっと下に見ている」ニュアンスが含まれていることは否めないだろう。
前述の通り、石井アナは「天狗になっていない」アピールに過剰なまでに心をくだいている人だから、あえて「お姉ちゃん」という言い方をして、視聴者から共感を得ようとしたのかもしれない。しかし、今の「自分中心」で「私と一緒」を重視する視聴者は、「私だったら、そういう言い方をされたらいやだ」と、石井アナの妻でもないのにそっぽを向く可能性があるのだ。
一昔前、夫が妻や子どもを「愚妻」や「豚児」とへり下った言い換えをすることがあったが、自分のことは下げても、家族のことは決して下げないのが今どきの謙遜ではないかと思う。特に全国ネットの番組で、いろいろな属性の人が見ているテレビでは、「自分の妻を下げることは、女性視聴者全体を下げること」くらいに捉えたほうがいいのかもしれない。
「女性の気持ちをつかめ」というのは人気商売でよく言われることだが、これは簡単なことではない。仕事のできる人の謙遜を「デキた人」と取る人もいれば、嫌みだと思う人もいるし、誰を下げるかによって印象も変わる。そのあたりの塩梅が視聴率のキモになる難しい時代だと思うが、『ゴゴスマ』を成功に導いた石井アナはフリー転身後も活躍できるかどうか、気になるところだ。
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