コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
「息子には英語に振り回されてほしくない」私立中の英語教育に期待した父子の“理想と現実”
2021/08/08 16:00
「私立って成績下位層に合わせて授業展開するわけじゃないんですね? どっちか言えば、上位者をさらに伸ばそうとしているというか……。そのせいか、学ぶスピードもすごく速いみたいなんですよ。英語の授業ですぐについて行けなくなり、おまけに英会話の授業でも、クラスメイトの皆はネイティブの先生の言っていることが理解できているのに、自分はまったく解らないことが、増えていったようで、その空間に耐えられなくなったみたいなんですよね。もちろん、息子には奮起をしてほしくていろいろと発破をかけてもいたんですが、言えば言うほど、英語嫌いに拍車がかかったみたいで、本当に弱りました」
中3までに英検3級レベルを必須としている中高一貫校は多いのだが、翔くんの学校は元々、英語に興味がある子が入学してくる傾向があるので、中学卒業時点で英検2級(高校卒業程度)レベルも珍しくないとは、その学校の先生の弁だ。
翔くんに併設高校進学条件が付けられたのは中3の春だったという。「秋までに英検3級を取得しなければ高校への進学を認めない」ということだが、翔くんは奮起するどころか、ますます英語から逃げるようになり、それどころか、その頃には、どの教科も低迷しており、学習意欲は皆無という状態。
「もちろん、学校は補習を組んでくれたり、追試をしてくれたりもしていましたし、英語補習塾にも無理やり入れましたが、本人にやる気がない以上、どうしようもないんですよね……」