「子育てがつらくてたまらなかった」お酒への依存が原因で離婚、新しいパートナーは「断酒会」で出会った男性
人生、何度でも、いくつになっても、やり直しができる。間違えても大丈夫、もう一度、立ち上がって生きていこう!――そんなメッセージを込めてお送りする連載「2回目だからこそのしあわせ〜わたしたちの再婚物語」では、失敗を糧にして「結婚」に再チャレンジし、幸せを手にしつつある人たちの物語を紹介していく。
発達障害が原因でお酒に依存
「1回目の結婚は、私のお酒の問題が原因で破綻してしまいました」と、中田照子さん(仮名・66歳)。
照子さんと元夫は照子さんが42歳、元夫が35歳のとき、趣味のサークルで知り合って結婚した。実は当時から照子さんは、お酒に依存していた。あとからわかったことだが、照子さんにはADHD(注意欠陥・多動症)という発達障害があり、仕事や人間関係でうまくいかないことが多かった。
「ミスが多かったり、場違いな行動をとってしまったりするので、浮いてしまうんです。そのころはまだ、大人の発達障害は知られておらず、『どうして私はこうなんだろう』と情けなくなる気持ちを、お酒で紛らわしてしまっていました」
一方、元夫も、彼の父親によると「息子はASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)」。思い込みが強く、こうと決めたら引かないところがあった。コミュニケーションに課題を抱える2人が結婚したものだから、けんかが絶えず、照子さんはますますお酒に逃げ込んだ。
「ファミレスなんかで食事をしても、私がちゃんぽんでどんどん飲んで、ベロベロに酔っ払うものだから、元夫はあきれ果てていました。元夫は下戸で、甘いワインをちょっと飲むくらい。そんなに飲む私を『理解できない、付き合いきれない』と言って、出先に置いて帰られたりもしていました」
子育てのつらさから飲酒を再開、離婚を言い渡される
40歳過ぎて結婚したから、子どもはそれほど期待していなかったが、一応、不妊治療をしていた。46歳になり、『さすがに無理だよね』とやめた途端、なんと自然妊娠。47歳で娘を出産した。
「相変わらずけんかは多かったけど、子どももできたし、頑張って夫婦をやっていこうと思いました」
初めての子育ては、思った以上に大変だった。とにかく体がキツかった。帝王切開の傷がなかなか治らず、出血が続いていた。母親は亡くなっており、父親は76歳と高齢で、頼れる親族もいなかった。
「子育てに悩み、区役所や児童相談所など、いろいろなところに相談に行きました。子どもが1歳半から保育園に週2回、2歳からは週5日、預けられるようになったのですが、私には、子育てがつらくてたまらなかった」
妊娠中から授乳中までの間は、さすがにお酒をやめていた。が、あまりのストレスに、照子さんは再びお酒を飲み始めた。
「お酒を飲んで、勢いをつけてからでないと、育児ができないんです。子どもが言うことを聞かなくてイライラして飲む、怒鳴ってまた飲む。子どもに手を出してしまったことがあり、怖くなって児童相談所に相談したら、『一時的に施設に預けてはどうか』と言われました。私は、休めるものならいったん育児を休みたいと思い、子どもを預けることに同意してしまいました」
それを知った元夫が怒った。「児童相談所に預けるくらいなら、実家に帰って俺が育てる」。同時に、離婚も言い渡された。
「ここで離婚されたら、子どもの親権は元夫にいってしまう。それはいやだと思って、『なんとかやり直したい』と頼みました。私の父親、元夫の父親も呼んで話し合いの末、元夫と子どもは夫の実家に帰って別居すること、私がお酒の問題を解決し、きちんと子育てができるようになったら同居を考えることが決まりました」
夫の実家は新幹線の距離で、気軽に行き来することはできない。子どもには定期的に会いたいと思い、照子さんは元夫の実家の近くにアパートを借りて引っ越した。