「差別ではなく区別だ」発言で大炎上したJ・K・ローリング、トランスジェンダー活動家からの「脅迫ツイート」さらす
トランスジェンダーをめぐる発言で度々炎上している、『ハリー・ポッター』シリーズの作家J・K・ローリングが、活動家からの脅迫ツイートを白日の下にさらした。
ローリングはかねてから、「『性自認は女性』という男性に女子トイレや女子更衣室を開放したら、(やましい目的から)中に入りたいと思う男性も『心は女だから』と言い張って入ってくるようになる」「トランスジェンダーの女性たちが安全であってほしいのと同時に、これから生まれてくる女の子や女性たちの安全を脅かされたくない。だからトランスジェンダーの女性たちの女子トイレ・更衣室の使用は認めるべきではない」と公言。「トランスジェンダー差別だ」と批判を浴びてきた。
そんな彼女が、現地時間7月19日、 トランスジェンダー活動家から届いた脅迫ツイートのスクリーンショットをTwitterに投稿。
それは「あなたの郵便受けに素敵なパイプ爆弾が入っていますように」というツイートで、ローリングは「(あなたがターゲットにした)女性(私)はクビにはなっていないし、逮捕もされていない、出版社から契約を打ち切られることもない。(私を)キャンセルすれば本の売り上げが伸びるだけ」とコメント。近年、過去に社会正義に反した言動をとったセレブのキャリアを“キャンセル”させようとする「キャンセルカルチャー」が取り沙汰されているが、ローリングは自分をそのような目に遭わすことはできない、無駄なことだと皮肉った。
別のTwitterユーザーから、「女性だと主張する男性に女子トイレ・更衣室を開放したら、女性が危険にさらされるようになる、というコメントに対する脅迫なの?」と聞かれたローリングは、「えぇ。何百人ものトランス活動家から、殴る、レイプする、暗殺する、爆弾をお見舞いしてやると脅迫されているの」と回答。一部のトランス活動家たちが過激化していることに触れ、「女性に危険を与えないようにと活動している人たちなのにね」と批判していた。
その後、気持ちを切り替えたのか、「もう私の世界に戻るわ。美しく、優しく、おもしろい、支持してくれる旨のメッセージを送ってくれる人たち、みんなありがとう」と、ファンに感謝の気持ちを伝えた。
ローリングは、2019年に「生物学的な性は変えることができない」というツイートが原因でとある研究者が解雇されたことを知り、「好きな服を着て、自分のことを好きなように呼び、あなたを受け入れてくれる人と合意の上で寝ればいい。平和で安全な環境の中で、あなたにとって最良の人生を生きてほしい」「でも性別は疑問の余地がないものであり、そう発言した女性から仕事を奪う?」とツイート。子どもの頃に、『ハリー・ポッター』シリーズを読むことでつらい現実から逃避していたトランスジェンダーのファンたちから、「私たちの存在を否定するなんて!」と悲鳴が上がった。
「差別ではなく区別だ」と主張するローリングは、昨年も「トランスジェンダーの人たちは大好きだけど、性という概念を消してしまったら、人生について意義のある話し合いをする力も失われる。真実を話すのはヘイトスピーチとは違う」と述べ、再び大炎上。ジェンダーが原因で心的な問題を抱える若い世代にホルモン治療を行うことを、「健康の観点から見て、とても危険」と言い放ったツイートも物議を醸した。
このホルモン治療は、第二次性徴の発達を止める「第二次性徴遮断薬」を指しており、10代のトランスジェンダーたちが性自認に合った思春期を送れるという利点があるが、ローリングはそれさえも否定していると多くのトランスジェンダーが激怒。ますます溝が深まってしまった。
多様性の大切さ、ジェンダー、人種、年齢など関係なく、すべての人が平等に暮らせる社会を目指すムーブメントはここ数年ますます活性化している一方、ネット上では一部が暴走。自分と思想が合わない人に対して、嫌がらせや脅迫するケースが増えている。ローリングのトランスジェンダーに関する発言には問題が多いが、それが彼女への脅迫の免罪符にはならない。今回のローリングのニュースには、思想が異なる人との共生という、現代の新たな問題が含まれているようだ。