“妊婦万引き犯”に下した冷酷な鉄槌! 女店長は「そんな幸せな環境にいるのに、あなたぜいたくよ」と言い放った
当日の現場は、東京の端に位置するドラッグストアK。小さめの店内に大量の商品を陳列しているためか、万引き被害が絶えない状況に陥っているそうで、次の決算までに常習者を一掃するべく各店に保安員が大量導入されました。複数の保安会社と契約されているため、本部より結果を出すよう暗に指示されましたが、この日は雨のため客足が寂しく、嫌な焦燥感を抱えたまま後半の業務に臨みます。
ようやくに雨が上がり、少し晴れ間が出てくると、20代後半と思しき妊婦さんが入ってきました。どことなく土屋太凰さんに似ている健康的な雰囲気が印象的な女性で、スポーツ選手と見紛うほどスタイルが良く、お腹の膨らみが余計に目立ってみえます。特に不審に感じたわけではありませんが、お客さんがいないので彼女の動向を見守るほかありません。すると、入口脇のボックスティッシュを手に取ってカゴの中に立てたその女性は、左肩にかけたトートバッグを手首に移しながら店内を歩いて、サプリメント売場で足を止めました。
吟味することなく、さまざまな種類のサプリメントを複数ずつ手に取った女性は、あれもこれもという勢いで多数の商品をカゴに放り込んでいきます。左手首にかけたトートバッグは、カゴと体の間に挟まれており、商品を隠しやすい状況にセットされているように見えました。おそらくはカゴの中に立てたボックスティッシュを“幕”に利用するつもりなのでしょう。一連の行動が悪いほうにつながり、自然と犯行に至ることを確信した私は、棚の隙間を駆使して女性の手を見続けます。
(やっぱり……)
それから間もなく、この店一番といえる死角通路に入り込んだ女性は、カゴに入れたティッシュで手元を隠しながら、“棚取り”した大量のサプリメントをトートバッグの中に隠しました。鉄分やDHA、マルチビタミン、ナットウキナーゼなど、隠した時間と商品名を記憶に留めつつ、次に乳製品コーナーで足を止めた女の行動を見守ります。
すると、プリンやヨーグルト、ハーゲンダッツなどをカゴに入れて売場を離れた女は、お気に入りらしい死角通路に舞い戻って商品をトートバッグの中に隠しました。“幕”に使ったボックスティッシュの精算を済ませて、何食わぬ顔で店を出ていく女の背後に忍び寄り、極力驚かせないよう近所のおばさん気取りで声をかけます。