「たまたま合わないだけ」……中学受験、不登校・引きこもりが「リセット」できる学校選びと“親がすべきこと”
“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。
2019(令和元)年12月に文科省が出した統計数字によると、小・中学校における不登校児童生徒数は6年連続で増加。13(平成25年)度と18(平成30)年の数字を比べると、小学生は“276人にひとり”から“114人にひとり”へ、中学生は“37人にひとり”から“27人にひとり”と、かなりの変動があったことがわかる。
真凛さん(仮名)も不登校児のひとりであった。真凛さんいわく、イジメられたわけでも、仲間外れにあったわけでもないということであるが、小学5年生のある朝、突然、学校に行けなくなってしまったのだそうだ。
「体が鉛のように重くて、起き上がることができませんでした。それが次の日も次の日も続いて⋯⋯。どうにか起き上がることに成功して、小学校までたどりついても、今度は教室の中に入ることができなくて、そのまま帰宅することも多くなっていって。気付いたら立派な不登校児になっていたんです」
当然、真凛さんの母親である千夏さん(仮名)は心配して、さまざまな医者のもとへ足を運んだというが、結論としては「身体的には問題なし」。
「原因がよくわからず、もしかすると私よりも母の方が辛かったかもしれないですね⋯⋯。あの頃は、午後になると体調が良くなるので、外に遊びに出かけたいんですが、同級生に会っても気まずいし⋯⋯。それで、ほとんど引きこもりのような状態になっていました」
不登校になって1年ほどたったある日、ある中学校のパンフレットがテーブルの上に置かれているのを目にしたそうだ。
「今思うと、母の作戦だったと思います(笑)。それはJ女学院のパンフレットだったんですが、何気なく見ていたら、母が悪戯っぽく笑って、こう言ったんです。『遊びに行っちゃおうか?』って」
特にすることもなかった真凛さんは、それを承諾。自宅から1時間ほどのJ女学院に足を運んだのは、行事の日ではなく、ありふれた普通の日の放課後だったそうだ。案内役の先生に連れられて、いろんな部活を見学したという。
「テニス部に行った時には、部長さんから『打ってみる?』って言われて、何球か打たせてもらいましたし、ハンドベル部では楽器を持たせてもらったり⋯⋯」
今まで知らなかった環境に刺激を受けたという真凛さん。
「ネイティブの先生がいらして、生徒たちとすごく楽しそうにゲームをしているのを見て、こんな世界があるんだなあ⋯⋯って、憧れました」