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「神木隆之介はキラキラしすぎ」!? 爆死中の映画『100日間生きたワニ』を見たアニメライターが「小規模で見たかった」と語るワケ

2021/07/23 18:00
三澤凛
映画『100日間生きたワニ』公式サイトより

 2019年12月12日から、漫画家・きくちゆうき氏のTwitterアカウント上で連載が始まった4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』。タイトルが示すように、100日後に死んでしまうらしいワニの何気ない日常をつづった物語が1日1話公開され、20年3月20日に投稿された最終話は「いいね」の数が214万という国内Twitterの歴代最多数を記録。

 ツイートに対してどれだけの回数の反応があったかを表すエンゲージメントは2億を超え、日本を感動の渦に巻き込んだ。連載当時、いったいワニがどんな最期を遂げてしまうのか、更新時間にスマホを必死にスクロールして待った人も多かったのではないだろうか。

 しかし、切ないラストの漫画を読み終わった後、涙が乾く間もないほど突然に、3人組アーティスト・いきものがかりとのコラボ動画、映画化、書籍化、グッズの発売、イベントの開催など、タイアップ情報の波が次々に押し寄せた。

 ワニと過ごした100日を振り返る余韻もないまま、メディアミックス展開が矢継ぎ早に発表されたため、ネット上には反発の声が続出。「当初から商業展開を狙ったステマだったのでは?」「作品に感情移入してワニの死を悲しんでいることをネタにされたような気分」などと大炎上し、最終回の感動の嵐から一転、一気にネットユーザーのコンテンツへの興味は失われていった。

 そんな中、予告されていた映画が7月9日に封切られた。大ヒット映画『カメラを止めるな!』(2018年)の上田慎一郎、ふくだみゆき夫妻が監督・脚本を担当し、出演者には、神木隆之介や中村倫也ら人気俳優のほか、声優・木村昴という知名度抜群の芸能人たちがキャスティングされている。この豪華な布陣をめぐっては、公開前からネット上で「このキャストなら期待できる」「話題性を狙いすぎ」と賛否を呼んでいたが、同時に“素朴で身近に感じたワニ”とは違った作品になるのではと、どこか疎外感を覚えたファンもいたことだろう。

 筆者が映画館に足を運んだのは、公開から1週間後の土曜日。すでに大型の劇場でたった1スクリーン、1日1回だけの上映になっていた。しかもスタートは朝の9時と、中々に見に行くのにハードルの高い時間帯。7月12日に興行通信社が発表した国内映画ランキングでは、トップ10“圏外”、一部では初日の興行収入は500万円、土日の興行収入は1,700万円程度だったとも報じられているだけに、この爆死ぶりを見ると、スクリーン数や上映回数の少なさは致し方ないのかもしれないが……。

 肝心の物語は、映画版タイトル『100日間生きたワニ』が示すように、ワニ(神木)が生きた100日間と、ワニが亡くなった後の100日が描かれる2部構成。まずは漫画原作と同様に、ワニが死ぬ100日前からスタートする。原作と比べると多少、エピソードの順番が入れ替わっていたり、カットされた部分もあったが、ネズミ(中村)やモグラ(木村)、ワニが思いを寄せるセンパイ(新木優子)とのやりりが細かくなり、それぞれのエピソードがより深く描かれていた。彼らが笑って気軽に「また次な!」と何の疑問も持たずに約束を交わす度に、ワニの行く末を知っている観客たちは皆胸を締め付けられ、切なさを感じたはずだ。

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