“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験「“公立”中高一貫しばり」の落とし穴⋯⋯親にも言えない子どもの本音とは

2021/07/11 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

誰にもぶつけようがないモヤモヤの正体は

「親からは浪人なんて絶対に許さないって言われていたので、合格した大学に入っただけって感じです。おまけにコロナなので、いまだに全くと言っていいくらいキャンパスライフなんて体験していません。それで、余計に『なんで、こんなふうになっちゃうのかな⋯⋯』って、誰にも、ぶつけようがないモヤモヤがあるんですよ」

 陽菜さんの自己分析によると、そのモヤモヤは「もし○○だったら」に原因があるという。

 もし、親がもっと早くから中学受検の勉強をさせておいてくれたら⋯⋯。もし、親が美優の親のように併願校を受けさせてくれて、進学を認めてくれたならば⋯⋯。もっと違った結果が生まれていたはずだ、という気持ちが消えないと訴える陽菜さん。

「親御さんの中には経済的な問題も絡んで、公立中高一貫校しか受けさせないという家庭もあるのは理解できます。でも、もし、中学受験を選ぶのであれば、少なくとも“合格体験”をさせてあげてほしいなって思いますし、子どもにはわからない、その先にある大学受験の実情は調べておいてほしいなぁって思うんですよ」

 陽菜さんの気分の落ち込みはコロナ禍も多分に影響していると思う。しかし、陽菜さんの経験に私たち親が学ぶとするならば、受験結果というものは、たとえ12歳という幼い年齢であっても、後に引きずる可能性があるということ。


「落ちたら、地元公立。以上」という進路決定は、公立中高一貫校を受検する親御さんにありがちであるが、結果に対して潔く割り切り、次の目標にまい進できる人間の方が少ないということは、考慮に入れておくべきだと思っている。

鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。

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最終更新:2021/07/11 16:00
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