中学受験「“公立”中高一貫しばり」の落とし穴⋯⋯親にも言えない子どもの本音とは
「塾は楽しかったですね。勉強することを邪魔する子はいませんでしたし、人間関係に余計な気を遣うこともなかったので気楽でした」
やがて、6年生の冬を迎え、陽菜さんはある公立中高一貫校を受検するのだが、結果は惜しくも不合格。陽菜さんの中学受検はそこで終わった。
「親に、その公立中高一貫校しか受けさせてもらえなかったので、不合格となった瞬間で地元公立中学進学が決まりました。ガッカリしたんですが、美優も不合格だったと聞いて、ちょっと安心したんです」
ところが、ほどなくして、陽菜さんは美優さんから「併願していた私立M女子学園に進学する」旨を伝えられる。
「不合格よりも、そのことの方がショックでしたね。中学受験組で地元公立中に進学する人間は私だけになってしまったので、行きにくいということもありますし、美優のことが羨ましくて仕方なかったです」
陽菜さんが進学した公立中学では幸い、小学校のような学級崩壊にはならず、何やかんや言いながらも、それなりに楽しい学校生活であったという。真面目な陽菜さんは部活も頑張り、中堅の公立高校へと進学したが、本人いわく「内申で振り分けられただけ」だそうだ。
「美優のことを羨ましがるたびに、親から『M女子なんて偏差値が低い学校にお金をかけて通う必要はない!』と言われて、そんなもんか⋯⋯と思ってはいたんですが、こないだ美優が上智大学に学校推薦で入ったって聞いて⋯⋯。また、モヤモヤしちゃったんです。M女子は確かに偏差値的には振るわないかもしれないですけど、ミッション校のせいか、それこそ、ウチの高校からは行けないような大学からも推薦がたくさん来る学校なんだそうです。正直、それを知っていればなぁ⋯⋯って思いました」
陽菜さんが進学した大学は、陽菜さんにとっては「滑り止め以下」の大学だそうで、本人的には納得がいかないそうだ。