「あら、嫌だ。こんなところで……」万引きGメンは見た! 変態少年のおぞましき“遺留品”
ひどく慌てた様子で立ち去ろうとするので、少年の腕を脇に挟んで制止するも、身をよじって逃げる姿勢を崩しません。強く引っ張られて危うく転びそうになり、絡めた腕を離した瞬間、ワッキーが少年の両肩を掴んで床の上に転がしました。仰向けに倒れた少年の上に、流れるような動きで馬乗りになったワッキーが、場面に似合わぬ優しい口調で問いかけます。
「騒ぎになっちゃうから、素直にしたほうがいいよ」
「違う! 俺じゃない!」
「へー。DNA、びっちりと付いているけど、調べられても大丈夫かな? 認めないなら、すぐに警察を呼ぶことになるよ」
問いかけが効いたのか、我に返った様子でおとなしくなった少年が、上から顔を近づけてすごむワッキーに言いました。
「ごめんなさい。認めますから、親と学校には言わないでください」
適当な相槌を打ちながら、ワッキーと2人で少年を事務所に連れていき、店長立ち合いのもとで事後処理を進めます。逮捕者はワッキーなので、店長に事情を説明して、少年の扱いが決まるまで同席してもらえるようお願いしました。
少年に身分証の提示を求めると「持っていない」と言うので、メモ用紙に人定事項を書いてもらうと、すぐそばにある私立中学校の3年生であることや、ここから電車で30分ほど離れた街で家族と暮らしていることがわかりました。被害品の写真集は3,850円(税別)ですが、少年の所持金は2,000円足らずで、自力で買い取ることはできません。顔を真っ赤にしてうつむく少年にかける言葉がなく、ただひたすらに黙っていると、状況を察したワッキーが言いました。
「俺も男だから気持ちはわからないでもないけど、他人に迷惑かけたらダメだよな。これ、どうするの? ご両親に助けてもらうほかないよなあ」
「もう二度としませんし、お金は明日必ず持ってきますから、親と学校には連絡しないでください。こんなこと知られたら、俺、殺されちゃいます! うわーん」