「あら、嫌だ。こんなところで……」万引きGメンは見た! 変態少年のおぞましき“遺留品”
こんにちは、保安員の澄江です。
最近は、大型スーパーやショッピングモールよりも専門店からの依頼が多く、書店やドラッグストアをはじめ、釣具店やスポーツ用品店など、さまざまな業種の店舗に潜入しています。個人的には、食品スーパーにおける勤務が一番気楽で望ましいのですが、不況のためか単発の依頼が多く、選り好みできる状況にありません。
あらゆる専門店は食品スーパーと違って客足が少なく、回転も悪いので、検挙率が低くなります。クライアントが気にするのは、常に費用対効果のこと。こちらも重々承知しているので、結果を出すべく気を抜かずに警戒しますが、相手が来なければ話になりません。多くの常習者を抱える食品スーパーと違って、専門店の常習者は来店回数が少なく神出鬼没なため、犯行の予測が難しいのです。それでも導入し続けるのは、一度の被害が大きいからにほかならず、その費用を考えれば被害店舗の苦しみが実感できることでしょう。その少ないチャンスをモノにできるかできないかに、私たちの評価がかかっていることも申し添えておきたいところです。今回は、とある書店で過去に捕らえた変態少年についてお話ししたいと思います。
当日の現場は、東京の都心に位置する大型書店S。ありとあらゆるジャンルの豊富な書籍を、複数のフロアで販売する巨大店舗です。周辺に数件の書店がある土地柄、ハシゴする常習者が目立つため、有事の際は他社の保安担当者と連携するよう指示されています。このようなネットワークは、非公式ながら20年以上前から構築されており、ひと昔前まではお互いの不審者ファイルを持ち寄って情報交換していました。
今は各店に顔認証装置が設置されているため、不審者ファイルの存在自体がなくなり、情報交換するだけの関係です。顔認証登録された不審者データの共有は簡単で、一部地域では各店の保安員が連携をとって警戒にあたったそうですが、この地域の店が共有しているかはわかりません。私たちは受信端末を持たされるだけで、登録から運用まで店側がするため、その実情はわからないのです。