菅政権批判、安倍昭恵夫人、森友問題、五輪強行、吉村知事と関西メディアの癒着……社会派記事で攻める「女性自身」
確かにコロナ感染が拡大する昨年前半頃を中心に、吉村知事は盛んにテレビに出演、感染対策や大阪ワクチンの開発を自信満々で語り、府民だけでなく多くの国民に支持された。しかし、実際はどうだったのか。例えば今年1月から5月21日の間に入院できず「在宅死」した大阪の感染者は全国で最多の28人、累計死者数でも全国最多の2,640人にものぼる(6月25日現在)。医療崩壊のワースト地域と指摘され、さらに給付金に関しても、対象都府県の中でダントツビリでの最下位だった。
時がたつにつれ、吉村知事のボロがどんどん出てきて“やるやる詐欺”などと揶揄される始末だが、しかし松本氏は、こうした吉村知事の“失政”が、在阪メディア、特にテレビで正面から批判されることは少ないと指摘、知事の主張をそのまま垂れ流し、「吉村さん、がんばってはる」とエールさえ送る、その“蜜月”“癒着”ぶりは異常だと断罪しているのだ。
そして興味深いのは、なぜ在阪メディアが知事を批判しないのかという理由だ。そこには元大阪府知事だった橋下徹氏の存在があると松本氏は言う。知事以前から頻繁に在阪テレビに出演していた橋下氏だが、その番組スタッフが橋下氏の府知事就任以降も引き続き番組を作るように。しかも、政治を扱う報道局ではなく、情報バラエティを作る制作局で、だった。そのため権力に対峙するのではなく、タレントを応援する“ノリ”になる。それは吉村知事となっても継承されたという。
なんともトホホな状況だが、松本氏が指摘するのはそれだけではない。それが橋下氏や松井一郎大阪市長、つまり維新の会の“恫喝”体質だ。気に入らない質問をした記者を執拗に攻め、恫喝する。そのため萎縮したメディアに批判的な視点はなくなっていくというものだ。
確かに、維新は福祉削減と効率化、民営化など強固に新自由主義を唱え、府民の命より自分たちの利権、との指摘もなされている。しかし大阪ではメディアとの癒着から、そうした声も消されてしまうということか。
以上、なかなか読みごたえのあった今週の「女性自身」である。