コラム
仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

清原和博、「ベストファーザー賞」に異論はないが……“同じ罪”でも「ベストマザー」になれない酒井法子に思うこと

2021/06/17 21:00
仁科友里(ライター)

 覚醒剤で逮捕された有名人といえば、女優・酒井法子が思い浮かぶ。酒井に限らず、違法薬物で逮捕される芸能人はたくさんいるが、酒井の場合、“失踪”が印象的だった。

 2009年、酒井の夫だった自称プロサーファー・高相祐一が、覚醒剤所持の現行犯で逮捕される。現場にかけつけた酒井も任意で尿検査を求められたが、「絶対に嫌です」と拒否。「子どもを預けているから」との理由でその場から去り、そのまま行方がわからなくなった。

 芸能人の夫が覚醒剤所持――。これだけでも、マスコミが大騒ぎすることは目に見えており、酒井の失踪後、世間では「自殺をはかろうとしているのではないか?」という見方も出てきたが、その後、警察は家宅捜索で酒井の自宅から覚醒剤と吸引器具を押収。こうなると、酒井は夫の逮捕にショックを受けて“失踪”したのではなく、体内から覚醒剤の成分を抜くために“逃亡”しているという見方が強くなった。結局、酒井は弁護士に付き添われて警察に出頭し、逮捕。裁判で懲役1年6カ月、執行猶予3年の有罪判決となる。

 現在、酒井の執行猶予はとっくに明けているが、コンプライアンスに厳しい昨今、芸能界への復帰は簡単なことではない。とはいえ、今はテレビに出ることだけが芸能活動という時代でもないのだ。今年5月に個人事務所「株式会社スマイル」を立ち上げ、YouTubeチャンネルを開設した酒井は、タレントとして新たな地盤を固めようとしているのだろう。また、同6日配信のニュースサイト「AERA.dot」のインタビューでは、社会人になる長男が酒井のYouTube動画を見て「あーでも、めっチャ、カッコ良かったよ。がんばれ」と、応援してくれたエピソードも語られている。

 再犯することもなく、個人事務所を立ち上げて再出発、さらに息子を社会人になるまで育て上げた立派なお母さんだと思うが、そんな酒井を評価して「ベストマザー賞」を送ろうという動きは、今のところない。同じ罪を犯しても、清原は許され、酒井は許されない。それは酒井が「母親なのに」罪を犯したからではないだろうか。

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