清原和博、「ベストファーザー賞」に異論はないが……“同じ罪”でも「ベストマザー」になれない酒井法子に思うこと
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の有名人>
「一番悪い父親が…」清原和博
清原和博公式Twitter、6月15日
元プロ野球選手の清原和博が、日本生活文化推進協議会などが主催する「ベスト・ファーザー賞in関西」を受賞した。これは関西にゆかりがあり、“明るく楽しい家庭づくりやユニークな子育てをしているお父さん”に送られる賞で、清原が「挫折の中でも2人の息子に向き合い再起を果たそうと前向きに生きている」ことが授賞理由だという。清原は授賞式が行われた6月15日、自身のTwitterに「一番悪い父親が…。感謝しか出て来ない」と投稿し、恐縮する様子を見せていた。
清原は2016年に覚醒剤取締法違反で逮捕され、懲役2年6カ月、執行猶予4年の有罪判決を受けた。一時期、2人のお子さんと交流は途絶えていたようだが、19年3月に再会を果たす。長男が大学野球部に入ったこともあり、「父子鷹なるか?」とマスコミの注目を集め、その姿を見守る清原について、好意的に伝えるネットニュースもよく見かけるようになった。
順調に社会復帰しているように見える清原だが、薬物というのはそう甘いものではないらしい。清原の公式YouTubeチャンネル「清ちゃんスポーツ」では、現在も手の震えや耳鳴り、不眠などの後遺症に悩んでいることを明かすなど、薬物と完全に手を切ることの難しさを語ったこともある。
一歩間違えば悪い方向に行ってもおかしくない、まだ不安定な状態の清原を「ベストファーザー」と言うのはおかしいと思う人もいるだろう。清原がどんな父親かを決める権利があるのは2人のお子さんだけだが、父親が警察のお世話になってハッピーな思いはしないだろうから、子どもたちの心を傷つけた清原を「ベストファーザー」と呼ぶのはいささか無理があるように思う。
しかし、この賞に限らず、“ベスト〇〇”というのは商業的なイベントである側面は否めない。そうなると、「ベストファーザー賞」の場合は「真面目に働く、名もない市井のお父さん」よりも、その年に注目を集めた人や、旬な有名人に賞を与えて、「ベスト○○賞」そのものの知名度を上げる狙いもあるのではないだろうか。
主催者側だけでなく、受賞者にとっても得があるはずだ。ネット上で「清原は賞を辞退すべきだ」という意見を見たが、人前に出る商売の人は「〇〇賞受賞」のような肩書は多いほうがいいし、こういう賞が次の仕事につながる可能性もある。ビジネス的な観点でいえば、少しでもイメージアップを図りたいはずの清原が辞退するのは損だろう。
なので、清原が「ベストファーザー賞」をもらうことに異論はないが、ここで考えてしまうのは「父親の役割とは何か?」ということである。その前に、清原と同じように覚醒剤で逮捕された子持ち芸能人のケースに触れたい。