コラム
知られざる女子刑務所ライフ119

田代まさしにクスリを売った男の“劇的人生”に驚き! 元ポン中が読む「薬物売人」の告白

2021/06/13 16:00
中野瑠美改め瑠壬(作家)
写真ACより

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

クスリの入手先は絶対に答えない

 こう見えて瑠美はビジネス書とかが好きなんですが、田代まさしさんにクスリ(違法薬物)を売っていた元・売人氏の告白は、気になったので読んでみました。

 田代まさしにクスリを売った男――映画になりそうですが、著者の倉垣弘志さんは自らムショでネタにしていたとか。「みんなビックリしていた」そうです。アタリマエですやん。倉垣さんは大阪のご出身やそうで、本は悲しい話もありつつ「ちょっとおもろい」感じでした。獄中(なか)で出会う人たちのことも、女子刑務所とはまた違う「ムショあるある」満載です。

「私が所持していた大麻、コカイン、覚醒剤はクラという男から譲り受けたものです」

 倉垣さんは、こう書かれた「田代さんの直筆らしきもの」を取り調べで見せられたそうです。

 いや……これはアカンでしょう。普通はパクられ(逮捕され)ても入手先は言いません。もっとも「売人さんに迷惑をかけられないから」やなくて、「シャバに出たらまた買いたいから」ですけどね。でも、この紙を見せられた倉垣さんは、かえってあきらめがついたそうです。もう潮時やなと思えたんですね。

 そこで倉垣さんは自分のしたことは認めて、それ以外はしゃべりませんでした。刑事さんから「ぜんぶお前が背負っていくんだな!」と言われ、「全部自分がやったことです」と答えたそうです。これはもう自分で気がつくしかないのですが、瑠美にも「あきらめきれる瞬間」はありました。最後の逮捕の時、「もうこれで(クスリは)やめよ」とキッパリと思えたんです。

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