コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験、「大学付属校なら安心」は大間違い!? 進学校並みの厳しさに付属高校進学すら危ぶまれ⋯⋯

2021/06/13 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

写真ACより

 

 中学受験を選択した親子はさまざまなことを悩むものだが、その悩みの一つに「志望校選び」がある。例えば、私立中高一貫校か公立中高一貫校か、別学校(女子校・男子校)か共学校か⋯⋯。さらに、大学付属校か中高一貫進学校か、どちらが我が子に合っているかという悩みが出てくるのである。

 今は、文科省の旗振りのもと、大学入試改革の真っ最中。2021年1月から大学入学共通テストが始まったが、今後も大学受験に新制度が導入されることが予測され、受験生は翻弄されがち。その上、文科省による「私立大学の入学定員厳格化」の影響によって合格者が絞り込まれている。こうした理由から、ここ数年の中学受験は「大学付属校人気」が続いている。

 そんな状況のもと、美穂さん(仮名)は数年前に一人息子の亮平君(仮名)をある有名大学の付属中学に入学させた。美穂さんは、前述した理由に加えて、

「大学受験がない分、部活動など、興味のある分野をトコトン極めることができる」

 という点が大変気に入り、お尻をかなり叩いて、ようやく念願の大学付属校に亮平君を突っ込むことに成功したのだそうだ。

「思えば、合格発表の時が喜びのピークでしたね⋯⋯。これで亮平の将来は約束されたも同然! と思い、私は舞い上がりました。でも、甘くはないんですよね。それからが地獄の始まりというか⋯⋯」

 亮平君はおっとり型でやさしい性格。「俺が、俺が!」というタイプとは正反対らしいのだが、積極的でキラキラしているように見える付属校のクラスメイトたちに、次第に違和感を抱くようになったという。

「ウチの学年だけかもしれませんが、下(併設小学校)から上がって来られた生徒さんたちの勢いが激しかったようで、亮平は馴染めなかったみたいでした。そんな時に、中2の前半で体調を崩すことがあって、10日ほど学校を欠席したんです。ウチの学校は、教科書を授業でほとんど使わず、先生がくださるプリントが命なんですが、授業を受けてないので、後から見ても理解できない。友達からノートを借りても、意味不明だったようで、すっかり落ちこぼれてしまったんです」

 亮平君の学校はレポート課題を大量に出すことで有名で、しかもその評価は極めてシビア。テストだけでなく課題提出も進級基準に入る。

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