“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験、「大学付属校なら安心」は大間違い!? 進学校並みの厳しさに付属高校進学すら危ぶまれ⋯⋯

2021/06/13 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

せっかく大学付属中学に入ったのに、「ラクに大学まで」は幻想だった!?

 週ごとに増えていく課題の山を見て見ぬ振りをしていた亮平君であったが、ついに、中2の冬に、美穂さんは学校からお呼び出しを受けることになった。

「このままでは、亮平君は併設大学進学どころか、併設高校への進学も認められません」

 未提出のレポートの山、そして、散々な点数の小テストの数々という“評価表”を前に、美穂さんはうなだれるしかなかったという。

「もちろん、大学が併設されているといっても希望学部に進学できる保証もないし、その大学に進学できない可能性だってあるってことは知っていました。でも、それは『よっぽど』のこと。亮平には関係ないって思っていたんです。ところが、大学どころか高校にも上がれないって言われて、驚きました⋯⋯」

 一般的には、大学付属にはのんびりしたイメージがあるかと思うが、それは正しいとは言えない。中学・高校の先生方としては、大学から「これだから“付属上がり”は!」などと言って、卒業生たちと厳しい大学受験をくぐり抜けてきた学生を「比較されたくない」という自負が働くのであろう。


 特に高偏差値の有名大学付属校の学習環境は甘くない。レポート提出を含め、文科省指導の1.5倍以上の勉強量を課している学校もあると言われている。大学への内部進学時に、例えば「英検2級以上取得」といった条件を課している学校も稀ではなく、意外とその進学は大変なのである。

週刊東洋経済 2021年5月29日号