芸能
『ザ・ノンフィクション』レビュー
『ザ・ノンフィクション』子どもを捨てた母、捨てられた娘20年ぶりの再会「酒と涙と女たちの歌 ~塙山キャバレー物語~ 後編」
2021/06/07 16:44
「やることなかったら気が狂うべ」と草むしりをしていたのぼるは、もともと塙山で店をやっていたくらいだから、働くのが好きなのだろう。そんなのぼるを巡る生活保護論争になった際に、働きたくても働けない人はいるし、自分も仕事がない、とほかの男性客がのぼるを援護していた。「高齢の働きたい人が働ける場所がない」というのは、世界一の長寿国でありながら、日本が抱えるとても切実で深刻な問題だと思う。
周りを見ていても、「働く意欲」と年齢はあまり関係ないように思う。ない人は若くしてないし、ある人は高齢であろうとバリバリだったりする。そして、やはり魅力的に映るのは自分の仕事に対し愛情のある人たちだ。
番組の最後で、塙山のママたちが、自分の店、働くこと、塙山キャバレーという場所が好きだ、と笑って話していて、その笑顔が本当によかった。そして、31歳の新米ママの誕生に、ベテランママたちは本当にうれしそうで、自分の店だけでなく、塙山という場所を愛しているのが伝わってきた。
エプロン姿でタバコをくゆらせ、ビールを飲みカラオケで昭和のムード歌謡や歌謡ロックを歌うママたちは、多くの人の人生を慰め、癒やしてきたのだろう。担当編集氏が塙山キャバレーのことを教会だ、と話していたが本当にそう思う。ママたちは日立の修道女であり、そしてまた、ママたち自身も塙山キャバレーに救われてきたのだと思う。
関連記事
『ザ・ノンフィクション』茨城ディープ・ママたちに癒やされる「酒と涙と女たちの歌 ~塙山キャバレー物語~ 前編」
『ザ・ノンフィクション』フォロワー40万人、20歳の六本木ダンサーの悩みとは「夢と涙の六本木 2~ミレイとモモの上京物語~」
『ザ・ノンフィクション』納棺師からドライバーに転職した国立大卒の25歳「東京、タクシー物語。後編~シングルマザーと新人ドライバー~」
『ザ・ノンフィクション』コロナ禍のタクシードライバーと乗客たち「東京、タクシー物語。前編 ~コロナとシングルマザーの運転手~」
『ザ・ノンフィクション』緊急事態宣言下でも「外で飲酒したい人」への疑問「銀座の夜は いま…2 ~菜々江ママとコロナの1年~」
最終更新:2021/06/07 16:44