コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

熊田曜子の発言だけで、夫を“悪者”と決めるのは不公平? 「夫婦はどっちもどっち」だから“悪口”は難しいと思うワケ

2021/06/03 21:00
仁科友里(ライター)

 熊田夫婦の関係は悪化の一途をたどっていたようで、5月18日、顔を叩かれたとして熊田が110番通報し、夫は暴行罪で逮捕された。熊田は被害届を取り下げず、双方が弁護士を立てて話し合いをしているとの報道も出たため、離婚は時間の問題だと思われた。

 そんな中、6月1日発売の「フラッシュ」(光文社)は、「夫の長年の友人」の話として、夫が熊田に暴力をふるったきっかけは、彼女の不倫を疑ったからであり、またその“暴力”も、熊田が被っていた布団をひきはがした瞬間に、手が顔に当たってしまった“偶然”だと話していた。

 くしくも、この報道がネットニュースとして配信された5月31日に、熊田は離婚を発表。「報道されております通り、令和3年5月18日の深夜、私が夫から暴行を受けたこと、身の危険を感じた私が警察に連絡したこと、駆けつけて下さった警察官に夫が逮捕されたこと、私がこの件について被害届を提出したことなどはすべて事実です」「夫からの暴力行為は今回が初めてではなく、夫が帰宅する時間が近づくと恐怖を感じようになってしまっており、そのような状態でこれ以上婚姻生活を継続することは難しい」とつづっている。もちろん、暴行の事実があったなら、それは許されることではないが、自身の不倫疑惑報道が出てしまうと、“不倫疑惑の妻”と“暴力夫”という、「どっちもどっち」な印象が強くなるだろう。

 これまで沈黙を守ってきた熊田の前夫だが、離婚して他人になってしまえば、ある意味自由に発言できるはず。本人が語らなくても“知人”の話として、今後、熊田に関する真偽ないまぜのネガティブ報道が出てくる可能性は否めない。これまではメディアにおいて熊田の発言権が強く、義母や前夫の愚痴を聞いた世間は、彼女に共感や同情をしていた。しかし、今回の離婚を経て「どっちもどっち」になったことで、前夫の声も熊田の声と同等に届くようになるだろう。

 そうすると、たとえ間違った情報であっても、イメージに傷がついて痛手を負うのは、世間にその姿を知られていない一般人の前夫ではなく、タレントである熊田のほうではないか。

 夫の悪口といえば、タレント・上沼恵美子のお家芸だが、彼女は「夫のいいつけに従って、仕事をする範囲は西は姫路、東は京都まで」「三歩下がって歩く」「夫とケンカしたときは、自分が必ず謝る」ことを自分に課していたという。ここまで徹底して“夫と妻の関係”を世間に提示するからこそ、テレビ局勤務の一般人である夫の愚痴をこぼしても、実生活に支障をきたさず、かつ「あれは芸です」と煙に巻くこともできるのだろう。

 夫の悪口は共感を集めやすいテーマかもしれないが、実は相当な腕を必要とするもの。熊田ほかママタレ各位は、簡単に手を出してはいけない領域だと肝に銘じるべきかもしれない。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2021/06/03 21:00
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