「ウーバーイーツ配送」「自宅で起業」が“ご近所トラブル”に発展!? マンション問題の解決方法を不動産のプロに聞く!
コロナ禍で「ステイホーム」が推奨されるようになり、今、「ご近所トラブル」が増加している。『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』(ダイヤモンド社)の著者であり、マンショントレンド評論家の日下部理絵氏に、「コロナ禍で増えた・減ったご近所トラブル」について聞いた前編。後編では、住人以外も困らせる“新種”の問題を探っていく。
コロナ禍によって“見えにくくなった”トラブルとは?
――マンションは住人以外が立ち入ることもありますが、これによって生じる問題もあるのでしょうか?
日下部理絵氏(以下、日下部) ウーバーイーツなど、コロナ禍でケータリングサービスの利用者が増え、それに関したトラブルや困りごとをよく聞くようになりました。例えばセキュリティが厳重なマンションの場合、配達員の方がどうやって中に入っていいのかわからず、立ち往生してしまうケースがあるようです。さらに、容器が使い捨てではなく返却が必要な場合、「どうやって回収するか?」悩まれているケースも。
個人的に心配しているのは、内廊下型のマンションですね。内廊下の物件ではホテルのように絨毯を敷いているマンションも多いのですが、受け渡しのときや、食べ終わった容器をドアの外に置いておくと、ひっくり返った場合に絨毯が汚れてしまうトラブルも発生しています。
――住人よりも、管理会社やオーナーさんが困りそうな問題ですね。
日下部 管理会社やオーナーが困るトラブルといえば、「こっそり自宅で起業」があります。分譲・賃貸どちらでも、規約や契約で「居住用の住宅を『事務所』として利用することを禁じている」物件は多いのですが、自宅で仕事をする人が増え、テレワークなのか、黙って事務所として利用しているのか、見えにくくなっているんです。
――そもそも、どうして分譲・賃貸住宅を事務所として利用するのを禁止しているのでしょうか?
日下部 事務所として利用することで、多数の人が出入りする状況になり、セキュリティ上望ましくない、騒音が気になると敬遠するケースが多いです。また、「事務所」か「自宅」かで、固定資産税の額が変わってくるため、居住用という名目で分譲・賃貸に出している物件を、居住者が事務所として使うのは、税制上問題があるんです。
とはいえ、コロナ禍を経て「テレワーク対応の住居」も増加。仕事用のスペースを作るなど、各部屋の間取りを変えるだけでなく、マンションの共用部分を「テレワークブース」にしたという物件も。また、「事務所利用はダメ」というルールも、ここ20年くらいで多く見られるようになったものなので、それ以前に建てられたマンションだと、住居と事務所が混在していることもあります。
――テレワークの普及に伴い、今後は「事務所利用OK」の住宅も増えそうですね。
日下部 「ルール」は社会の状況に応じて変化していくものなので、その可能性も考えられると思います。コロナ禍で仕事を失い、自宅で起業した方もいらっしゃるでしょう。かつては“よりよく暮らす”ために「事務所利用はダメ」というルールが作られましたが、今の時代によりフィットした形に変わっていくのでは。今はちょうど、過渡期なのかもしれませんね。