コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

田中みな実は、なぜ「怒られたくない」のか? 完璧な自分のウラにある「異様に怖がる」気持ちを読み解く

2021/05/27 21:00
仁科友里(ライター)

 田中といえば、いろいろなメディアで「マネジャーが頻繁に変わる」と報じられてきた。4月27日配信の「東スポWeb」には、ある芸能関係者の話として、「田中さんがある番組に出演した際、ドアを閉めているにもかかわらず、田中さんの楽屋から『本当にこの企画をやる意味がありますか?』とプロデューサーを責める声が聞こえてきた」話が報じられていた。「ドアを閉めているにもかかわらず」というあたりから、大声を出していたと予想することができるだろう。

 芸能界の場合、数字を持っている人が勝ちだから、田中のような売れっ子が周囲に強めに当たったとしても、スタッフは慣れっこのはず。スターのご機嫌をうまく取って、結果を出させるのもスタッフの仕事のうちだろうが、この話のポイントは、「怒られるのが嫌いな田中が、他人のことは責める」ことではないだろうか。

 「怒られることを恐れる人」というと、おとなしくて、怒られないかいつもビクビクしている「気弱な人」をイメージするかもしれないが、田中の場合「自分が他人を怒らせることや他人を怒ることはOKだが、他人が自分に同じことをするのは嫌」なわけで、つまり「他人に厳しく、自分に甘い」というやつではないだろうか。「自分は完璧だ、ちゃんとやっているのに怒られるはずがない」と思うからこそ、怒られるのを異様に怖がっているように見える。

 そして、田中のようなタイプは「自分が正しい」と思っているため、それが小さな「指摘」だったとしても、自分の行いに口を出されると「怒られた」「嫌われた」と捉え、ショックを受けるのではないか。これがまさに、「怒られた」と落ち込む人と「これは指摘だ」と自分を正せる人の差であり、境目だと思う。

 仕事ではどうしても上下関係が発生するが、自分が上でも下でも「お互いさま精神」があるかないかで、人間関係は変わってくる。怒られた時に「ある程度はお互いさま」と思える人は、自分が一方的に責められたような気にはならないはず。しかし、「自分に甘く、正しいと思っているタイプ」は、怒られると「私を侮辱した」という考えにつながり、「私は嫌われている」と落ち込むのではないか。

 もっとも、謙虚な田中みな実なんて面白くない。彼女はどんどんこの路線を突き進んでほしい。しかし、市井の田中みな実ファン、特に会社員の女性は、ここをマネると「面倒くさいオンナ」になる危険性があるから、くれぐれも注意してほしい。世の中に田中みな実は一人で十分なのだから。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2021/05/27 21:00
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