カルチャー
[女性誌レビュー]「婦人公論」2020年5月25日号

鈴木保奈美、女優なのに「PASMOで電車に乗った私」をアピール! 「婦人公論」連載でダダ漏れになった自意識

2021/05/21 16:14
島本有紀子(ライター)
「婦人公論」2020年5月25日号(中央公論新社)

 「婦人公論」(中央公論新社)の5月25日号が発売中です。同誌のカナメといえば、濃い読者手記ですが、今回の特集はその傑作選「私たちのノンフィクション 幸せは涙のあとに」。読者より寄せられたノンフィクション原稿の中から、編集部が選び抜いた「珠玉の6篇」がドドンと掲載されています。胸やけするほど読み応えのある今号の中身、さっそく見ていきましょう!

<トピックス>
◎私たちのノンフィクション 幸せは涙のあとに
◎私はこう読んだ 伊藤比呂美、内田樹
◎鈴木保奈美 獅子座、A型、丙午。

読者の暴走プラトニックブ体験記

 特集「私たちのノンフィクション 幸せは涙のあとに」に掲載された6篇の手記の内容は、とてもヘビー。認知症、不倫、がん闘病、精神科入院、借金、遺産争い、兄からの性的虐待――と、盛りすぎの昼ドラのようなラインナップです。

 そんな中、わずかながら希望が感じられなくもない1篇も。そのテーマは「片思い」。ずっと離婚したいと思っていた夫が亡くなったあと、絵画教室の「若い素敵な」男性の先生(60歳・既婚)に恋している76歳女性による手記です。

 「レッスン日のあとは、絵の仲間には知らせずいつも2人きりで夕食をご一緒している」とあり、イイ感じなのでは!? と思ったのも束の間、「支払いは私持ちというのがちょっと気にかかる」。それってタダ飯要員では。

 しかし、夫の遺産がそれなりにあるこの女性、「払える私が払うのが当然かな」と納得したそうで、ある日、先生に愛を告白。結果は、「不義です。それは罪です」と振られてしまったとのこと。なんてイケ好かない野郎。“生徒を惑わすオレ”に酔っていやがる……!

 先生とは振られたあとも食事を続けているそう。つまり、夫の遺産でタダ飯を与え続けているだけなのですが、女性は「もしかして先生もプラトニックラブと思ってくれているのでは」「ああ、身も心も愛されたい」「せめて指一本くらい触らせて」と暴走ぎみです。恋心はいくつになっても人を狂わせるようだ……と教えられました。

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