カルチャー
居住支援の現場から【4】
父親の暴力を見続けた息子は「すごく良い子」だったのに……「僕には選択肢がなかった」告白に、悩むシングルマザーの告白
2021/05/23 18:00
若宮さんはそういうが、夫と離婚したのは決してわがままなどではない。夫からは、血だらけになるほどひどい暴力を受けていた。夫にはすでに離婚歴があり、そのときもDVが原因だったというから、どうしようもない男だ。
「暴力も、大けがにならない程度にされていたんです。骨折でもしていれば診断書があったのですが、それがなかったので暴力の立証ができず不利になって苦労しました。調停でも『オレが慰謝料をもらう方だ』と主張して、興信所をつけられて、盗聴器や盗撮もされていたんです。興信所に払うお金には糸目はつけないのに、慰謝料は払いたくない、子どもの養育費も1万にケチるというおかしな人で、夫の弁護士さんがあきれて『奥さんが別れたいという気持ちがよくわかる』と同情してくれたくらい。その言葉に報われた気がしました
そんな暴力を間近に見ていた祐樹さんは、自家中毒になって吐くことが続き、若宮さんは祐樹さんの心にも傷をつくっていることを感じていた。親が暴力を振るうのを見て育った子どもは、自分が親になってもまた子どもに同じようなことをすると聞いて、そうさせてはいけないと離婚を決意したのだ。
「事実、元夫は実の父親に殴られて育ったそうで、悪いことをしたり、自分の言うことをきかなかったりした時は『殴っていいんだ』と常に言っていました。お金の使い方などで口論になったりすると、私は夫の『自分の言うことをきかない』カテゴリに入るので、平気で私を殴るんです」
祐樹さんが“優しい良い子”になったのは、そのせいかもしれないと若宮さんは思っている。
――続きは6月6日公開
最終更新:2021/05/23 18:00