新人の万引きGメンが、勤務中に万引き! 警察官の前で彼女がひた隠す「見られちゃいけないもの」とは?
「○時○分、あなたを窃盗の現行犯で逮捕します」
警察官2人がかりで引き起こされたMさんは、抵抗空しく後ろ手に手錠をかけられました。深く項垂れているために、髪の毛で顔が隠れて表情は窺えませんが、歯を食いしばって身を捩る姿が病的で、別人のように見えます。自分の教え子といえる後輩社員が、目の前で手錠をかけられる現実は重く、自然と涙があふれ出ました。
「この中に、危ないものが入っていないか確認するから、一緒に見ていてくださいね」
Mさんが死守していた化粧ポーチを拾い上げた女性警察官が、その中身を彼女の面前で確認すると、火力の強いターボライターのほか、ところどころが焦げているガラスのスポイトのようなものと、カラフルな和紙に包まれた結晶状の粉末が出てきました。
「これは、なにかな? 自分の口で言ってください」
「…………」
警察官の問いかけに、項垂れたまま顔を背けたMさんは、なに一つ言葉を発さないまま警察署に連行されました。その後の調べで、和紙に包まれた結晶は、覚せい剤と判明。尿検査の結果もクロで、覚せい剤を使用した状態で勤務にあたり、商品を盗んでいた事実が明らかになりました。
後日、留置場まで面会に行くも拒絶されたので、未払い分の給料を差し入れて、懲戒解雇の通知書は封書で送りつけることにします。すると、しばらくして拘留中のMさんから、返信の手紙が届きました。
逮捕当日からいままで、合わす顔がなく、きちんとした謝罪もできず、本当に申し訳ありません。
そんな謝罪の言葉から始まった手紙を読み進めると、付き合っていた彼氏の影響で覚せい剤を常用するようになったそうで、気がつけば夢中になり、自分を見失ってしまったという言い訳が書かれていました。どうやら彼氏はヒモのような人らしく、要求に応えているうちにお金が足りなくなり、現場で商品を盗んでは、ネットで売って換金したことも告白しています。
その後、何度も契約先に出向いては謝罪をして、ようやくにお許しいただき、単価を下げることで契約解除は免れました。しかし、失った信頼を取り戻すまでの時間は長く、その損失は思いのほか大きかったです。
好いた男に振り回された結果、仕事と信頼を失い、仲間に迷惑をかけ、獄にまで落ちた彼女にかける言葉はありません。離婚せずにいたら、彼女の人生はどうなっていたことでしょう。男に振り回されて堕ちていく生き方に触れ、彼女の人生は男次第なのだと痛感した次第です。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)
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