コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

3時のヒロインが容姿ネタを封印しても、差別はなくならない……「オジサンはなぜ外見をイジられないのか」問題にメスを入れるべき理由 

2021/04/22 21:00
仁科友里(ライター)

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「容姿いじりのネタ捨てる」3時のヒロイン・福田麻貴
『ワイドナショー』(フジテレビ系、4月18日)

 今、芸能人で一番使い勝手がいいのは、オンナ芸人ではないだろうか。ひと昔前、女優や歌手、芸人は仕事の範囲がはっきり決まっていたように思う。芸人が、本職の俳優に交じってドラマに出たり、本格的に音楽活動をするということは滅多になかったが、友近はNHKの朝ドラに出演したこともあるし、大物演歌歌手・水谷千重子というキャラになりきってディナーショーも行っている。

 また、フォーリンラブのバービーは、TBSラジオで『週末ノオト』のメインパーソナリティーを務めるほか、PEACH JOHNで下着の開発に取り組んでいるし、オアシズ・光浦靖子は、「文藝春秋」2020年11月号(文藝春秋社)の巻頭随筆「光浦靖子『49歳になりまして』芸歴28年・もう一つの人生も回収したい」が大きな反響を呼び、目下、各出版社からの依頼が殺到しているという。

 このように、オンナ芸人がマルチに活躍できるようになると、大事になってくるのが本人の“好感度”ではないだろうか。一般人がスターを見上げ、憧れる時代は去り、現在では「自分に似た人」」を探して共感し、応援するようになっているなどと言われるが、そう考えると、オンナ芸人の“日頃の行い”は非常に重要になってくると思う。

 そういう意味で、3時のヒロイン・福田麻貴が「容姿いじりのネタを捨てる」と決断したことはプラスに働くのではないだろうか。3時のヒロインといえば、福田麻紀、かなで、ゆめっちのトリオ芸人で、『女芸人No.1決定戦 THE W 2019』で優勝し、注目を浴びた。普通体形の福田に対し、ゆめっちもかなでも太目である(ゆめっちはウケるためにわざわざ太ったそうだ)。

 3時のヒロインの3人は、容姿をいじられることを「おいしい」と思うタイプだというが、この度、容姿ネタ封印を決めたそうだ。その理由として福田は、「劇場で容姿をいじるネタをやっても、ウケないと感じるようになったこと」また「ドキュメント的な内容のYouTubeを見慣れ、テレビの内容も本当だと信じてしまう傾向がある若者に、容姿イジりネタを『本気で攻撃している』と思われる可能性があること」を挙げていた。確かにウケないネタをみすみす続けるのは不毛だし、何よりも3時のヒロインのためにならないと言う意味で、この判断は賢明ではないだろうか。

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