女子高生2人組の正体は「万引き商人」! ホストクラブで遊ぶカネ欲しさに……何食わぬ顔で盗みまくる!!
「こんなにたくさん、初めてじゃできないよね。あんたたち、いつもやっているでしょう」
現場に到着した女性刑事が、2人の前に並ぶ盗品群を見て、開口一番に言いました。その問いかけにも答えることなく、ただひたすらに泣き続ける2人でしたが、警察官による所持品検査の結果、同じ高校に通う高校2年生と判明。ボストンバッグの中からは、盗んだ商品と同一の商品名が記されたメモの切れ端も、複数枚出てきました。商品名のほかに、あだ名のような名前も書かれており、その1枚1枚が、まるで違う字体で書かれています。その意味を女性刑事が問い詰めると、ようやくに観念したのか、一人の女の子が言いました。
「友達に欲しいものを聞いてから盗って、安く売っていました」
どうやら発見されたメモは、注文書の役割を果たしていたようで、商品のパッケージをスマホで確認しながら盗っていたとのことでした。注文書のないものは、自分たちのために盗ったそうで、テーブルに広げられたワンピースのほか、お揃いの靴やショルダーバッグが、それにあたるようです。
「被害者は施設でなく店舗なので、各店の店長に被害申告の意思を確認したい」
女性刑事の依頼を受けて、出勤時に顔を合わせた女性社員に連絡を頼むと、返事もしないまま店内放送を始めました。どうやら、こういう人のようです。
「買い取れないなら被害届は出しますけど、忙しいので警察署に行くことはできません。全部お任せしているので、保安員さんとやってもらえますか?」
被害者は会社。そんな意識が強いのでしょう。自分の店の被害であるのに、まるで感情を見せない店長たちは、全ての処理を私に押し付けて売場に戻ってしまいました。苦労して捕まえたのに、誰にも喜んでもらえないことが空しく、一人で踊るような気持ちになったことは言うまでもないでしょう。
商品の買い取りが叶えば、警察署に行く必要はありませんが、2人の所持金はわずかで保護者との連絡も取れません。やむなく警察署に行き、事件処理を進めていると、私を担当する初老の男性刑事が言いました。
「あの子たち、『あそこは楽勝だから、行くたびに万引きしていた』って話しているよ。これで稼いだお金で、クラブやホストクラブに行って、遊んでいたんだって」
「あんなに若い子が、ホストクラブに? 私なんか、行ったこともないですけど」
「インスタとかもそうだろうけど、最近の子は、みんなチヤホヤされたいみたいだよね。自分さえよければ、罪を犯すことも厭わないような子が増えている感じがするよ」
「そういえば、あの子たち、すごく楽しそうに盗んでいました。万引きなんて、やろうと思えば簡単にできちゃうから、お店側もさせないように気をつけないと減らないですよね」
万引きは、回数を重ねるごとに罪悪感は希薄となり、より高額で大量の商品を頻繁に盗むようになります。商店の大型化が進み、犯行も容易くなった結果、そこに巣食う常習者の不当利得は増すばかり。商店の防犯意識を変えなければ、その被害が減ることはないでしょう。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)