女子高生2人組の正体は「万引き商人」! ホストクラブで遊ぶカネ欲しさに……何食わぬ顔で盗みまくる!!
大胆な手口で高額品を狙っているので、相当な常習犯だと察した私は、絶対に姿を見られないところから2人の行動を監視します。すると、次にアクセサリーのコーナーに向かった2人は、あれやこれやと商品を手にとっては戻すという行為を繰り返して、そのどさくさに紛れて商品をボストンバッグに落とし入れました。周囲に店員の姿はあるものの、接客に追われていて、警戒している様子はありません。その後、またしても色違いでお揃いの靴を手に取ると、前回よりも手際よく防犯タグを除去して、それをそれぞれのボストンバッグに隠しました。続いて、お揃いのワンピースも同じようにしてボストンバッグに隠すと、何食わぬ顔でセレクトショップを出ていきます。
そのまま1階に降りた2人は、化粧品売場に入って、スマホを見ながら商品を探し始めました。それなりに経験のあるコンビなのでしょう。お目当ての化粧品を見つけるたび、目を見合わせてほほ笑みを交わし合い、それを合図に商品を隠匿しています。結局、乳液や化粧水、つけまつげなど、複数の商品をボストンバッグに隠して売場をあとにした2人は、なに一つ買うことなく売場を出ました。目的を果たせてうれしいのか、楽しそうにじゃれ合いながら、出口に向かって歩いていきます。その様が、どこか大袈裟にみえて、自分のやましい気持ちをごまかしているように見えました。
「あなたたち、ちょっと待って。バッグの中に隠した商品のお金、ちゃんと払わないと」
店の外に出たところで呼び止めると、逃げることなく立ち尽くした2人は、呆然と顔を見合わせています。
「そのバッグに、たくさん入れていたよね? 悪いことだって、わかるでしょ?」
「はい、わかります。ごめんなさい。全部返します」
項垂れる2人を事務所まで連行して、ボストンバッグに隠した商品を出させると、計24点、合計で9万円相当の商品が出てきました。現認の取れていないコミックやスマホケースなども出てきて、どうやら同じモール内の店舗をハシゴして回っていたようです。
「これは、全部自分たちで使うつもりで?」
「…………(泣)」
身分確認などを求めても、泣きじゃくるばかりで話になりません。立場上、深く問い詰めることはできないので、モールの施設長を呼び出して判断を仰ぎます。すると、相手をするだけ時間の無駄だと吐き捨てた細身の施設長は、すぐに警察を呼んで出て行きました。どうやら、万引き犯に嫌悪感を持たれている方のようで、全てが事務的に進められる雰囲気です。