警察の「有罪にしたい病」は治らない? 元女囚が考える冤罪事件
覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
警察が容疑者のお茶に覚醒剤を混ぜる?
「取り調べでお茶に覚醒剤を混ぜるなんてアリなんですか?」
編集者さんから聞かれました。名古屋地裁が「愛知県警の警察官がお茶に覚醒剤を入れて被疑者に飲ませた」と認定して、被告人を無罪にした事件のことですね。記事によると、無罪になったのは覚醒剤取締法違反(使用)の疑いで自宅近くでパクられた(逮捕された)40代男性やそうです。
男性は、取り調べの時に「採尿」のためにコップに入ったお茶やお水を数十杯飲まされたんですが、そのうちの一杯が「苦かった」そうです。そもそもカタギさん的には、「いくら取り調べのためとはいえ、何十杯もお茶やお水を飲ませるなんて……」とか、「刑事さんが覚醒剤を入れるなんて……」と驚かれるでしょうね。でも、これって覚醒剤の捜査なら珍しくはないんですよ。ここまでひどいのは、そんなにしょっちゅうでもないですけど、「ションベン取らせろ」「出ません」てなったら、もう出るまで飲まされます。
あと、この刑事さんは謎行動が多すぎでした。「パクられて仕事をなくして、かわいそやったから」と被告人になぜか現金2万円をあげたり、勾留中に携帯電話を使わせたりしていたそうです。しかも2万円をあげてたことは最初は否認して、あとで認めたそうです。ほんま意味わからないですよね。
名古屋地裁の板津正道裁判長は、「警察官が逮捕後に勾留中の被告へ現金を渡していた」ちゅうて、こんなウソばっかりやから「捜査が不正に行われた疑いを強く推認させる」としたんですよ。
実は、瑠美も経験あります。2回目の逮捕の時は「ヤラレタ」と思っています。あの時は、ほんまに打ってなかったんです。まあ、ほかの時は打ってるんで、それはそれでアレなんですけど(苦笑)。
あとは、「もしもお茶に入れたのがホンマなら、刑事さんはその覚醒剤をどこから持ってきたか」ちゅう問題もありますね。これはズバリ、押収品に手を出してますね。
瑠美も、逮捕の時に持ってた量と、取り調べ後に「廃棄の意思」を確認される時の量が違てたことがあります。半分以上減ってたし(笑)。アレはどこへ行ったんやろ?
もちろん起訴は逮捕時の所持量で決まりますから、刑はまけてもらえませんでした。