コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
中学受験塾に洗脳されていた私……「T学園に入りたいのは、僕じゃなくてママ」息子の涙に目が覚めて
2021/03/28 16:00
義則君に話を戻そう。彼は今、T学園の高校生である。あれから、義則君は中学受験から撤退。かかりつけ医に「勉強よりも健康!」と言われたことも大きかったそうだが、結果的に中学受験を見送り、公立中学に入学した。
しかし、もともとポテンシャルが高かったこともあり、自分の将来についてゆっくり考えたところ、「やはりT学園」という結論を自ら下したのだそうだ。そこで、高校入試でT学園に合格。今では、チック症状も収まり、肌の調子もいいという。
当時のことを振り返って、菜々美さんは言う。
「やはり、人生って自分で決めないといけないんですね。思えば、私のつまらない意地で、義則にはかわいそうなことをしました。でも、こないだ義則が『あれがあったから、今がある』と言ってくれたんです。少し、救われた気がします」
断言するが、中学受験参入は、親の意思である。もちろん「子に良かれ」と思ってのことであるが、何事もバランス。もし、偏差値至上主義に陥ってしまったならば、その「良かれ」の本当の意味を考えることが、親の仕事だといえよう。
最終更新:2021/03/28 16:00