『ザ・ノンフィクション』2万1,701人の、日本で就学不明の外国籍の子ども「ふたりの1年生 ~新米先生と海の向こうから来た女の子~」
小学校入学のタイミングで転校したナイヒでも苦労するのだから、コウキの日本語習得はさらに厳しいものだったと思う。それでも勉強を続けるコウキは、中学校で同級生に話しかける。その会話がよかった。まず互いに「こんにちは」とあいさつし、「1年〇組の〇〇(名前)です」と紹介しあったあと、こんなやりとりをしていた。
コウキ「席が変わったので、よろしくお願いします」
友達「おう、そうなの?」
話しかけようとトライするコウキも前向きだし、それを「おう、そうなの?」と明るい感じで返す同級生も優しい子だなあ、と思った。伝える側が一歩踏み込む勇気を持つことと、受け取る側が想像力という優しさを働かせることがコミュニケーションの本質なのだと思う。
2人の中学生の短いやりとりにはそれが良く出ていた。私も仕事で一度英語のプレゼンをしたことがあり、外国語の勉強は苦労だらけと言っていいくらい大変なことだと、そのとき痛感した。一方で、外国語の勉強は、母国語だけで生活しているとつい見落としがちな、人とつながる喜びも教えてくれる。
「就学不明」の外国籍の子供は2万1,701人
番組では日本で暮らす外国籍の小、中、公立学校に在籍している児童生徒は年々増加傾向にあり、8万2,000人いると伝えられていた。
ナイヒの母親は、来日当初は仕事に専念すべく職場のそばで暮らし、ナイヒはすでに日本で生活している叔父夫婦に預けられ、親子別々に生活していた。学校では1日中固まったままで過ごしているのに、母親にも甘えられないナイヒの状況は気の毒だったが、一方叔父夫婦の家では中国語が飛び交い、ナイヒはいとこと楽しそうに遊んでいたし、いとこや日本人の叔母と日本語の勉強もできるなど、孤立しない環境はあったと思う。
一方で、中学校に通う年齢にありながら、学校に通っているかを確認できない「就学不明」の外国籍の子どもが、2万1,701人に上ることが国の全国調査でわかっている(※1)。
※1:外国籍の子、就学不明2万2000人 国が初めて全国調査(毎日新聞)
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