コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

吉本興業から“報復”を受けた? ハラスメントに抗議して1人になった加藤浩次に、いま伝えたいこと

2021/03/11 21:00
仁科友里(ライター)
『スッキリ』(日本テレビ系)公式サイトより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「吉本興業さんのほうから『契約は延長しない』と言われまして」加藤浩次
『スッキリ』(日本テレビ系、3月10日)

 今、話題の卓球女子五輪メダリスト・福原愛の不倫報道。「女性セブン」(小学館)が、福原と一般男性の横浜デート、また高級ホテルに泊まったことを報じ、一方で「週刊文春」(文藝春秋)は、福原の中ですでに離婚を決意済みで、その原因は夫である台湾卓球五輪代表・江宏傑のモラハラだと、福原の肩を持つかのように思える報道をしている。なお福原本人は「一緒の部屋に泊まった事実はありません」と不倫関係については否定した。

 私は、このニュースに対するフリーアナウンサー・大橋未歩の反応が印象深かった。3月7日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、この話題を取り上げた際、彼女は「全力で愛さんを擁護しようと思って」と語り、その理由について「はっきりと本人が(不倫を)否定していますし」「愛さんにテレビ業界はどんだけのものをもらった?」と、彼女がテレビ界の功労者であることを挙げた。

 テレビ東京時代、スポーツニュースを担当していた大橋アナは、真冬でも下着なのかと思うくらい薄着だったし、『やりすぎコージー』などで自分の性癖を話すこともあるなど、どちらかというとお色気担当であったように、私は記憶している。それは上司の指示なのか、それとも本人の判断かは不明だが、最近の大橋アナは「料理は女性がするものという考えにドン引き」と話したり、東京五輪組織委員会の森喜朗元会長の「女性の入る会議は長くなる」「女性は競争意識が強い」発言に対し、『5時に夢中!』(TOKYO MX)で「私の中にも、ふかわさん(同番組MC・ふかわりょう)の中にも、みなさんの中にも森さんは住んでいると思うんですよ」と述べるなど、ジェンダーを意識したかのような発言が目立つ。

 彼女はこれまで、局にお色気キャラを押し付けられるセクハラを受けてきたが、時代が変わって、今は言いたいことを言えるようになったと思っているのかもしれない。もしくは、お色気で勝負できない年齢になってきて、「そもそもお色気で勝負しなければいけない社会の在り方が悪い」と開眼したのかもしれない。彼女自身、自らを「女性の味方であるフェミニスト」と思っているようにも感じるが、それで売っていくには、ちょっと中途半端ではないだろうか。

 というのも、彼女は福原の不倫問題について、「愛さんに、テレビ業界はどんだけのものをもらった?」と口にしていた。それはつまり、「業績がある人だから、ほかのことは大目に見よう」という業界最優先の考えだといえるだろう。こうした思考回路では、セクハラに抗議するどころか、セクハラが軽視もしくは放置されてしまうと思うのだ。

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