離婚して10年たっても「元のりピーの夫」と言われるのは仕方ない――元女囚が考える、覚醒剤との決別
覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
罪を犯したら一生ついて回る
「元のりピーの夫」Tさんの覚醒剤使用事件の裁判が2月25日で結審して、3月24日に判決やそうですね。この「元のりピーの夫」問題については、前にも書きましたが、離婚して10年もたってて、本人は一般人やのに、なぜ「のりピー」がつくのか……と怒ってる人も多いようです。
でも、のりピーは一度でもそういう人を選んだんですから、そんなにアカンとは思わないです。
私なんか、「男を悪いほうに引っ張る女」と思われてますからね。私と付き合う男は、周囲が「瑠美から悪い道に誘われてへんやろか?」とか心配されています。
クスリ(覚醒剤)に限らず、罪を犯したら一生ついて回ります。それはもうしゃあないんですよ。うんと反省して、後悔して、あとは前を見ようよ、と毎日自分にも言うてます。だって、言われても仕方ないことをしてきたんですから、真摯に受け止めなきゃです。
「やめられない気持ち」にめっちゃ共感
Tさんは池袋で職務質問されて、尿検査で覚醒剤の陽性反応が出て緊急逮捕されたそうです。
クスリをやめられないのは明らかに本人のせいですが、ニュースを見て、なんか気の毒になりましたね。ダルクに通いながら両親の紹介で居酒屋のバイトをしてたのに、職場でいじめに遭っていたそうです。しかも、いじめの理由は「仕事以外」のことやそうです。それが何かは書いてませんでしたが、やっぱりクスリとちがいますかね。
マジメにやってるのに、「挙動不審」だとか「アイツはアウトやな(クスリをやってるな)」とか陰で言われてたら、心は持ちませんよね。私もいまだに「もしかして(覚醒剤が)効いてる?」とか言われますよ。失礼極まりないですけど、これもまた仕方ないことです。
Tさんは、久しぶりに週5日働いて充実していたのに、いじめのストレスで胃潰瘍までできて、ツラくなってきたところで、池袋でクスリを売る友達と「偶然」再会したそうです。ホンマに「偶然」かどうかは別として、何かあるたびに「元夫」とか言われてマスコミに追い回されて、職場でもいじめに遭うてたら、そりゃイッパツ打ちたくもなるなとは思います。
しかもダルクの仲間からは「そんな職場は辞めたほうがいい」と言われたのに、ご両親は紹介した手前もあってか、退職には反対されてたんですね。これはツラいと思いますよ。さらに、のりピーとの間の息子さんの中学校の卒業式に出席させてもらえなかったそうで、そういうツラさもあったようです。100パーセント身から出たサビですけど、マジこれはツラいです。涙が出ます。