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K-POPタテ・ヨコ・ナナメ斬り

TWICE、J.Y.Park作曲の「Switch to me」から繙く、K-POPブーム前夜90~00年代の“韓国製”NJS楽曲紹介

2021/03/03 19:00
e_e_li_c_a(ライター)

 ユニット名のTashannie(タシャニ)は先述のUptownのメンバー、ユン・ミレ(Tasha)とカナダ系韓国人で振付師のイ・スア(Annie)の英語名を組み合わせたものです。デビューアルバム『Parallel Prophecys』のタイトル曲「참을 수 없어」(我慢できない)に続く後続曲が「경고」(警報)です。アルバムのプロデュースはUptownのチョン・ヨンジュンが担当し、収録曲の作曲をヒット曲メイカーのパク・グンテ、Bighitエンタテインメント創始者のパン・シヒョクなどが担当しました。

 活動がH.O.T、Fin.K.L、S.E.S、Sechs Kies、Baby VOXなどの大御所とかぶり、あまり成績は振るいませんでしたが、「경고」(警報)がリズムゲーム「Pump It Up The O.B.G.」に収録され、このゲームがゲームセンターで大ヒットしたため、カラオケなどでも人気が出ます。

■브로스 (Bros) – 윈윈 (Win Win) (1999/10)

 先述のRoo’Raのメンバーであるイ・サンミンが当時のYGファミリーに対抗し、デビュー前の新人アーティストたちを広報する目的で作ったといわれるブロスのデビュー曲「Win Win」です。

 Roo’Raのメンバー4人、Roo’Raメンバーのチェ・リナを中心に作られた女性3人組グループ・디바(Diva)、男性5人組グループ・엑스라지(X-LARGE)、女性4人組グループ・샤크라(Chakra)のメンバーがおり、その後Chakraはデビュー65日で地上波音楽番組1位を獲得するなど、当時の3大ガールズグループ(S.E.S.、Fin.K.L、Baby VOX)の記録を破ります。

■2000 대한민국 (2000 Republic of Korea) – 아름다운 21C (Beautiful 21C、美しい21世紀) (2000/01)

 韓国初の正式にリリースされたHiphopコンピレーションアルバム『1999대한민국』(1999大韓民国)に続く第2弾シリーズ『2000 대한민국(大韓民國)』の収録曲です。

 『1999大韓民国』はX-Teenというユニットを中心に、ユン・ミレの夫TigerJKが所属するDrunken Tiger、Uptown、ソテジワアイドゥルのメンバーであるイ・ジュノが所属したHoney Family、現在『SMTM』(Show me the money)シリーズのMCを務めるキム・ジンピョ、Bobby Kimなどメジャーで活動していたラッパーを中心に34人が参加しています。Honey Family名義の「우리같이 해요」(一緒にやろうぜ)はマイクリレー曲にもかかわらず、音楽番組で良い成績を収め、約3年間のHiphopコンピレーションアルバム制作ブームのきっかけとなります。

 実は「2000 대한민국(大韓民國)」というタイトルのコンピレーションアルバムは、シンナラレコードから出たものと千里眼(現在のNaverのような、当時PC通信サービスを運営する会社)から出たものと2つあり、「아름다운 21C」(Beautiful 21C)が収録されているのはシンナラレコードからリリースされたものでした。

 『1999大韓民国』の時に参加したラッパーたちがどちらにも散らばり、自分たちが元祖2000大韓民国だと主張する騒動も起き、明確に勝敗が決まったわけではありませんが、千里眼からリリースされたものを元祖とすることが一般的になります。歌詞がいわゆる愛国歌のような内容で、どの国でもHiphopというジャンルにはこういう精神が反映されるものなのだな、と思わされます。

■핑클 (Fin.K.L) – 나우 (Now) (2000/10)

 98年に大成企画からデビューした女性4人組グループ、Fin.K.L(ピンクル)の3枚目アルバム『Now』のタイトル曲です。大成企画は現在のDSPmediaの前身で、Fin.K.L以外にもSechs KiesやSS501、KARAなどが所属し、90年代後半の歌謡界は“SMエンタテインメントかDSP”と言われるほどでした。現在はAPRILやKARDなどが所属しています。

 Fin.K.Lは冒頭で紹介したイ・ヒョリがリーダーを務め、女性アイドルグループとして「初」の記録を多数残すグループです。例を上げると、このNowで見られるスーツコンセプト、歌謡大賞の受賞、単独コンサート、平壌公演、ドラマOST参加、コンサートDVD発売などがあります。デビューから20年以上経った今でもロールモデルとしてFin.K.Lを挙げる人がいるぐらいで、後の「アイドル」という概念に多大な影響を与えたグループです。

 当時のプロモーション画像が見られる動画などを見ると、日本の女性グループや、主にSPEEDなどから多大な影響を受けてそうだなと感じます。

 『Now』以前は妖精、かわいさ、親近感などをコンセプトに売ってきましたが、『Now』ではセクシーでかっこいい方向にコンセプトをシフトチェンジします。今のK-Popであれば曲ごとにコンセプトを変えることはそこまで珍しいことではないですが、当時は大挑戦だったといわれています。しかしアルバム『Now』は2枚目のアルバムに劣らない大ヒットを飛ばし、コンセプトのおかげか女性ファンも増加します。

 2002年から個人活動がメインになり、メンバーそれぞれの所属事務所も別々になりますが、現在も解散という発表はしておらず、19年には「남아있는 노래처럼」(残っている歌のように)という曲をリリースします。

■디베이스 (D.BACE) – 모든것을 너에게 (Everything to you、全てを君へ) (2001/05)

 DEUXのイ・ヒョンドが作った男性5人組グループ、D.BACE(ディベース)のデビューアルバム『D.Bace』のタイトル曲です。「모든것을 너에게」 (Everything to you)はヒットし新人賞も取りますが、2枚目のアルバム『GO』では大きな反応は得られず、空中分解してしまいます。

 00年にSechs Kies、01年にH.O.T.が解散してからは、今まで紹介してきたようなHiphop、ダンスミュージック一辺倒だった歌謡界は歌い上げるバラード中心になり、音楽番組も生歌重視になったため、神話以外の歌とパフォーマンスをメインにする男性グループはほとんど受け入れられない時期だったそうです。

■주석 (Joosuk) – 정상을 향한 독주2 (Solo proceed to the top、頂上への独走2) (2003/11)

 韓国アンダーグラウンドHiphopの帝王と呼ばれたラッパーでありプロデューサーのジュソクの3枚目アルバム『Superior Vol. 1 This Iz My Life』のタイトル曲です。「2」とついているように、1の原曲は前述『2000大韓民国』の千里眼からリリースされたほうのアルバムに収録されています。聞き比べるとわかりますが、原曲の方はビートがかなりシンプルで、2のほうが聞きやすくなっています。

 幼少期に日本に住んでいたことがあり日本語が堪能で、日本のHiphop界ともつながりがあり、活動初期のアルバムにはOZROSAURUSのMACCHOやZEEBRAなどが客演しています。

 12年、Mnetで始まったラップサバイバル番組『SMTM』のシーズン1でプロデューサーを務めて、LOCOと共にWonder GirlsのLike Thisのトラックでステージを披露し、観客投票1位を獲得します。

 今回は00年代前半までを紹介しましたが、これ以降はHiphopやR&Bジャンルの楽曲でも電子音が多く取り入れられ、NJSの特徴の16分3連符が主体のスウィングビートは減り、はっきりとNJSと言える楽曲はほとんど見られなくなります。

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