NHK『おちょやん』、篠原涼子の女将は「異常者」だった!? 本当は怖い“芝居茶屋”の児童虐待ぶり
当時の日本では「食べ物を大事に扱おう」という風潮が、現代以上にありました。それ自体は立派なことです。しかし、お釜を洗うときに、こぼれ落ちてしまう米粒があれば、それをお家はんが目ざとく見つけ、排水溝の「洗いカス」の中に紛れ込んだ米粒を、浪花さんに食べることを強いたというのです。
しかも、浪花さんが「それ(=洗いカスの中の米粒)を自分の指でつまみ出し、口へ持っていくと、それがノドの奥を通り越すまで」、お家はんは目を冷たく光らせながら、「じっと見つめて」いたそうな。それも、浪花さん「だけ」に行われる「しつけ」だったそうです。
もし千代=浪花千栄子さんだとしたら、そんな女将のいる芝居茶屋「岡安」の経営が微妙になってきていても「ざまぁみろ!」くらいにしか思えなかったはずです。しかも、おちょやんとしての給料は、例のごとく父親の手に全額渡っているので、いくら働いたところで、1円の稼ぎにすらならないのでした。
しかし、そんな浪花さんが、おちょやんを辞められるきっかけとなったのは、父親(ドラマでは毒父テルヲ)だったといえば、意外かもしれませんね。
ご想像どおり、浪花さんの父親は、娘が心配で迎えに来たのではなく、自分と、彼が惚れている妻(ドラマでは栗子)の生活に金が足りないので、浪花さんを別の奉公先に送り込むことで、金を再度、得ようとしているだけなのでしたが。
芝居茶屋のお家はんは、おちょやんが一人減るのがもったいないので、浪花さんの父親には抵抗します。おちょやんなんて、最低限の食事と着物、寝場所を与えるだけで、「タダ働き」させられる児童労働者ですからね。しかし、父親はわけのわからない理屈をまくしたて、結局、浪花さんの退職金15円をせしめ、ホクホクしていたそうです。
ーー次回は、千代の弟・ヨシヲについて掘り下げます。