コラム
オンナ万引きGメン日誌
ママ友の「幼稚園お別れ会」積立金を着服! お菓子やジュース1万円分をカゴ抜けした“万引き母さん”
2021/02/13 16:00
通報を受けて臨場した女性警察官が犯歴照会をすると、彼女に前歴はなかったようで、被害は大きいものの、小さな子どもがいることもあって、今回は簡易処分で済ませることとなりました。警察署に連行される前に、盗んだ商品の精算を済ませてもらいます。
「現金の持ち合わせがないので、カードでお願いします」
ところが、カードの利用が停止されているようで、何度やっても支払いが完了できません。困惑した様子で、ほかのカードがないか財布を弄る彼女に、女性警察官が言いました。
「これ全部、幼稚園のお別れ会で出すつもりだったんだよね?」
「はい、そうです。早く届けないと、間に合わない……」
「私も子どもいるからわかるけど、こういうのって、ママ友みんなの積立金で準備するものでしょう? あなた一人で支払うわけじゃないですよね?」
「……実は、私が会計係なんですけど、生活費が足りなくて使っちゃったんです」
結局、身柄引受人として同居する彼女の母親が呼び出され、代金を支払ってもらうことで事態は終結。買い取った商品は、おばあちゃんの手によって、幼稚園まで届けられることになりました。自分の娘が一度手をつけた商品を買い取り、お孫さんをはじめとする皆さんの元に届ける心境は、どんなものだったでしょう。必死の形相で大量の商品を白の軽自動車に積み込み、慌てた様子で走り去る老女の姿を目の当たりにして、親になることなく余生を過ごす自分が、勝ち組のように思えた次第です。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)
最終更新:2021/02/13 16:00